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最大筋力を高めるシャウト効果

最大筋力を高めるシャウト効果


「全か無の法則とは」にて、筋肉が大きな力を発揮するためには、より多くの運動単位を動員させられなければならないことを紹介しました。

 

 

 

 

 

しかし、実際に人間は自らの力で「すべての運動単位を活動させること」はできません

 

 

最大限の力を出して頑張っているつもりでも、実際にはいくつかの運動単位はサボっているのです。どれだけトレーニングを積んで、より多くの運動単位を動員できるようになったとしても、いくつかはサボっています。

 

 

このように、最大筋力を出しているつもりでも、脳がそれにリミッターをかけてしまう現象「中枢による抑制」といいます。

 

 

 

 

脳のリミッターを外す、シャウト効果

 

パワーリフティングやウエイトリフティング、陸上競技の砲丸投げなど、最大筋力や最大パワーが重要な種目において、この「中枢による抑制」はパフォーマンスを制限する邪魔な存在になります。

 

 

では、「中枢による抑制」を減らし、より多くの運動単位を活動させられる方法はないのでしょうか?

 

 

その方法の一つに、「シャウト効果」があります。

 

 

「シャウト効果」とは、「より大きな声を出すことで、中枢による抑制を減らそう」というものです。大きな力を発揮するときに、声を出して行うほうが良い…というのは経験的にもわかりやすいのではないでしょうか?

 

 

ハンマー投げの選手や砲丸投げの選手が、投てきの瞬間、すごい声を上げることは珍しくありません。「火事場の馬鹿力」というのもこれと似たような現象と言えますね。

 

 

 

実際にどれくらいのリミッターがかかっているのか?

 

中枢による抑制によって、筋力が制限されるといっても、実際どれくらいのリミッターがかかっているのでしょうか?

 

 

現在までに、様々な研究がなされていますが、実際のどれくらいのリミッターがかかるかについては、まだよくわかっていません。出せる筋力の1割程度のリミッターなのか、3割ほどはリミッターがかかっているのか…。このあたりについては断定できないのが現状です。

 

 

しかし、シャウト効果などでそのリミッターを、いくらか外すことはできますし、大きな力を発揮するようなトレーニングを行うことで、より多くの運動単位を動員させられることは事実です。より大きな最大筋力が求められるスポーツなどでは、このあたりをきちんと理解してトレーニングに臨むことが大事でしょう。

 

 

 

まとめ

 

・人間は自らの力で「すべての運動単位を活動させること」はできず、脳によるリミッターがかかっている。これを「中枢による抑制」という。

 

・より大きな声を出すことで、中枢による抑制を減らし、普段よりも大きな力を出すことができる。これを「シャウト効果」という。

 

・脳によってどれくらいのリミッターがかかっているかは、よくわかっていない。

 

・最大筋力が求められるようなスポーツでは「シャウト効果」や「最大筋力を発揮するようなトレーニング」で、より多くの運動単位を動員できることが大事。

 

 

参照文献

・寺田新. (2017). スポーツ栄養学: 科学の基礎から 「なぜ」 にこたえる. 東京大学出版会.
・石井直方(2015).石井直方の筋肉の科学.ベースボール・マガジン社.
・山地啓司, 大築立志, 田中宏暁 (編), スポーツ・運動生理学概説. 昭和出版: 東京(2011).
・勝田茂, 和田正信, & 松永智. (2015). 入門運動生理学. 杏林書院.
・芳賀脩光, & 大野秀樹. (2003). トレーニング生理学.

 

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