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陸上選手はウエイトトレーニングをやらない方がいいのか?

陸上選手はウエイトトレーニングをやらない方がいいのか?


最適な筋力のバランスとは?

 

「筋力のバランスが崩れると良くないから、陸上選手はウエイトトレーニングをしない方が良い」という話をたまに耳にします。本当にそうなのでしょうか?

 

 

「平行筋と羽状筋」などで説明してきた通り、四肢を曲げる筋肉にはスピードや可動性の高い仕組みが多くあったり、逆に四肢を伸ばす筋肉には力を出すのに有利な仕組みが多くなっています。そのため、筋力の面でみると、通常伸筋群よりも屈筋群の方が弱いことが多いです。

 

 

しかし、短距離走の選手や跳躍選手など、高いスピードで走る競技選手ともなると、膝を伸ばす筋力が強く、膝を曲げる筋力が弱いままでは不都合が多く発生します。

 

 

全力疾走中は、積極的に膝を前へ引き出していく動作が必要です。そして、膝を引き出そうと前へスイングしたままでは脚が前へ飛んでいってしまい、次の接地位置が必要以上に身体から遠くなってしまいます。そのため、ハムストリングなどの筋肉を使って、前へ動く膝下にブレーキをかけて、体の近くに引き付けなければなりません。

 

 

そしてこのブレーキを発揮するハムストリングには、かなり大きな負担がかかるため、ハムストリングが弱いと速く走ることができないどころか、ハムストリングの肉離れを起こしやすくしてしまいます。そのため、膝を曲げる筋肉であるハムストリングは、ある程度の筋力を発揮できるようにトレーニングをしておく必要があります。

 

 

もし、人間本来の「膝を伸ばす筋力が強く、膝を曲げる筋力が弱いバランス」のままだと、速く走るためには適さないことが分かります。実際に、オリンピックに出場するような短距離選手は、腿の裏の筋肉が非常によく発達しており、一般人との筋肉のバランスとは明らかにかけ離れた形態をしています。

 

 

 

 

 

 

 

このように、競技種目の特性ごとに、最適であろう筋力のバランスがあるはずです。「人間本来の筋力のバランスが崩れるから、筋力トレーニングはやらない方が良い」という主張をたまに耳にしますが、上手く的を得ているとは言えません。

 

 

 

競技種目に適した筋力のバランスを手に入れるためには? 

 

では、競技種目に適した筋力のバランスを手に入れるためにはどうしたらよいのでしょうか?

 

 

まずは、その競技そのものを行うことが近道になります。競技そのものを行うことによってかかる負荷が、競技に適した筋力のバランスを獲得するのに有効でありことは間違いありません。

 

 

しかし、それだけでは筋肉を十分に発達させる刺激としては不十分です。なぜなら、個人の動きの癖や、トレーニングの馴化現象によって、競技種目だけを実施して、筋力を発達させ続けることが難しくなるからです。そこからは、ウエイトトレーニングなどでカバーしていかなければ、さらなるパフォーマンスの向上は難しくなります。

 

 

自身の競技種目にはどのような筋力が必要なのかをしっかりと理解して、競技そのものの練習だけでなく、基礎的なウエイトトレーニングにも励んでいく必要があります。

 

 

 

参考文献

・渡邉信晃, 榎本好孝, & 狩野豊. (1999). スプリンターの筋横断面積と疾走速度との関係における性差. 陸上競技研究, (39), 12-19.

 

 

 

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