測定スポーツの競技力(短距離走に着目して)

 

測定スポーツは陸上競技や競泳などの、優劣を計測された数値によって決定するスポーツのことです。

 

 

この測定スポーツの競技力とはどのような要素成り立っているのでしょうか。

 

 

ここでは、陸上競技の短距離走を取り挙げて説明をしていきます。

 

 

短距離走は「いち早く加速し」「より高いスピードを出し」「できる限りスピードを維持する」ことが求められ、それぞれ「加速局面」「最大スピード局面」「減速局面」と分けられます。

 

 

それでは今回は「加速局面」から「最大スピード局面」で重要となる「加速力」と「最大スピード」に絞って、その構造を探っていきましょう。

 

 

 

☆加速力

 

加速局面では自分の身体を素早く加速させる局面で、いち早くスピードを上げることが競技力を高めるために重要です。

 

そのためには地面へより大きな水平方向の力を加えられる事が重要になります。

 

後ろに力を加えないと自分の身体は前には進みません。

 

後ろに力を加えやすくするためには身体を前に傾ける事が重要ですが、前に身体を傾けすぎると自分の身体を支えられなくなってしまい、転んでしまいます。

 

そのため、自分の身体を支えるための鉛直方向の力発揮がもう一つの重要な要素になります。

 

これらのことから、地面に対する水平方向への力発揮、鉛直方向への力発揮、すなわち地面へのキック力が必要である事が分かると思います。

 

 

 

 

☆最大スピード

 

次に「最大スピード」です。

 

ここではその名の通り自分のスピードが最高値に達する局面です。

 

ここでの最大スピードをいかに高められるかが100m走などのタイム短縮のための最重要課題となります。

 

この最大スピードが高くなれば高くなるほど、自分の足が地面についている時間…すなわち接地時間が短くなっていきます

 

しかし、接地時間は無限に短くできるわけではありません。

 

その短い接地時間の間に、自分の体重を浮かせられるだけの力を鉛直方向に加えなければいけないからです。

 

接地時間が短いほど、力を加えるタイミングは短くなっていきますから、その分、短時間で大きな力を地面に発揮することが求められます。

 

 

この短い時間で出来るだけ大きな鉛直方向への力を発揮できるか、すなわちここでも鉛直方向へのキック力が最大スピードの決定要因の一つとなっています。

 

 

 

加速局面や最大スピード局面で必要なキック力を生み出すのが股関節や膝、足首を曲げたり伸ばしたりする筋肉です。

 

筋肉はその断面積が大きいほど大きな力を発揮できます。

 

しかし、筋肉が大きいだけでは100mの競技力につながるとは限りません。

 

走っているときに足が地面に接地している時間は非常に短いため、非常に短い時間で力を発揮できる能力が大切になります。

 

また、走っている時は、とても速いスピードで筋肉を動かしているので、速いスピードの中でも力を発揮できる能力も大事です。

 

これらの能力は筋肉が大きいだけでは十分に発揮することができません

 

したがって、それらの能力を鍛えるようなトレーニングが重要と言えます。

 

もちろん筋肉が大きいことは、短い時間での力発揮、速いスピードでの力発揮の土台となるため重要です。

 

 

 

このように、短距離走の競技力向上に必要な単なる「加速力」「最大スピード」だけでもこれだけ深い構造をしています。

 

この例のように、他の測定スポーツについても、それぞれの競技力を高めるために重要な要素は種目ごとに異なります。

 

その競技力を構成している要素を理解した上での的を得たトレーニングが必要であり、選手自身も動きの一つ一つを客観的にも主観的にも日々、評価をしながら競技力を向上させていく必要があります。

 

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