スポーツ指導者は「感覚」のアーティストである

☆熟練者の感覚が初心者に有用であるとは限らない

一流のハードル選手がハードルを跳ぶ時、どのような感覚なのでしょう?

 

ある程度のレベルに達したハードル選手の意識や、指導書の解説などでは、踏切前の準備動作に重きを置いたり、着地の減速を小さくするための試みや着地後の一歩目のタイミングやその細かな動作を主眼にしていることが多く見受けられます。

 

しかし、小学校の教育現場などの初心者においては「確実にハードルを越えること」「3歩のリズムを習得すること」などが先決となるでしょう。

 

そのために力強く、遠くへ踏み切る意識を持つような指導がなされることがあります。

 

そのような初歩的な課題があるにもかかわらず、熟練者と同じようなハイレベルな意識でハードル走を練習してもなかなか上達しないことは多々あることでしょう。

 

このように熟練者が普段持っている感覚のまま、初心者への指導をしても上手くいくとは限らないのです。

 

 

☆その人のレベルや課題にあった感覚を見つけてあげる

熟練者にとって、習熟している技術はわざわざ意識する必要がなく、無意識でもできてしまいます。

 

しかし、初心者にとっては意識しなければいけません。

 

そのため、熟練者や指導者が初心者に指導をする場合「普段は意識しない動作の感覚」を教えてあげる必要が出できます。

 

この時重要になるのが「ある動作の「感覚」を言語化できるか、または選手に言語化させることができるかどうか」です。

 

 

この感覚を言語化させ、指導の際に利用可能なものにしていくことは、指導者にとって必須の作業であると言えます。

 

ここで、感覚を利用可能な意識、言語に変換させるための2つの方法を紹介しておきます。

 

 

・動感解体法

ある運動において、特定の部分を解体して練習をさせてみる、またはやってみる方法です。

 

バスケットボールのシュート練習で言うと、あえて椅子に座り、下半身を使えないようにしたままシュートを行うことで腕の動作に注意を向けやすくなります。

 

このような取り組みから、無意識にやっていた動作へ、新しい感覚、意識を見出すことができるかもしれません。

 

 

・焦点化質問法

意識させたい部位や特定の動作に焦点を当てて、運動をどのように行っているか意図的に質問をしていく中で、学習者の感覚を磨いていく方法です。

 

今どういう感覚だったか、運動全体について漠然と質問をしても大抵は「分からない…」という答えが返ってきます。

 

そこで、部位を絞って注意を向けさせやすくするといった手法です。

 

 

このように、選手の感覚を多く引き出し、自分の感覚とすり合わせ、選手が理解しやすい形にして表現することで選手の動作に変化をもたらすことができる指導者は、まさにアーティストと呼ぶことができるかもしれません。

 

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