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400m走のレースパターン

400m走のレースパターン

400m走は、スタートからゴールにいたるまで、スピードの維持が非常に困難な競技です。

 

どんな選手でも、レース序盤で最大スピードに達した後、ゴールまで速度が低下し続けます。後半に速度が上がることはほぼありません。

 

 

これは、大きなエネルギーを生み出せるエネルギー供給のしくみに限界があり、世界トップ選手でも高スピードでの長い運動時間を強いられると疲労してしまうからです。

 

なので、100m走や200m走と違って、よりペース配分に気を配らなければいけない種目だと言えます。

 


レース中の速度・ピッチ・ストライドの変化

400m走のレース中のピッチ、ストライドの変化の傾向をとらえてみます。

 

 

 

50-100mで最大スピード出現

 

・100-200mでストライド維持または増加、ピッチの減少により速度が低下

 

・200-300mでピッチ維持または増加により、速度低下率はやや抑えられる

 

・300-400mでピッチ、ストライドの両方が低下し、スピードが低下

 

特に終盤350m付近ではピッチの大幅な低下による疾走スピードの著しい低下

 

 

また、400m走のパフォーマンス別のレース分析では(山元ほか,2014)では、45-49秒台の選手それぞれに前半型、中間型、後半型が混在しており、記録によってレースパターンに相違があるわけではないことを報告しています。しかし、200m―300m地点では絶対的な速度と記録に特に強い関係がみられ、相対的な速度とも記録に関連がみられています。

 

なので、ペース配分の戦略を考えるときには、200m―300mで速度をなるべく落としすぎないようにすることは重要かもしれません。

 

しかし、世界レベルの選手では前半200mの平均速度がかなり高く、終盤は45―46秒台と同程度の速度まで低下していることを加味すると、やはり選手の持っている最大スピードの能力の高さは非常に重要な要素であると言えます。

 

 

参考動画(リオデジャネイロオリンピック400m走決勝)

 

レースパターンについては結局、個人の特性を生かした最適なペース配分というものを探っていかなければなりませんが、ペース配分にこだわり過ぎるあまり、肝心の個人のスピードや持久力の向上が疎かになってしまわないようにすべきでしょう。

 

 

関連記事

 

 

参考文献

・山元康平. (2017). 陸上競技男子 400m 走におけるレースパターンの特性. 陸上競技研究,(3), 2-12.
・山元康平, 宮代賢治, 内藤景, 木越清信, 谷川聡, 大山卞圭悟, ... & 尾縣貢. (2014). 陸上競技男子 400 m 走におけるレースパターンとパフォーマンスとの関係. 体育学研究, 59(1), 159-173.
・宮下憲(2012)スプリント&ハードル.陸上競技社,pp.81.

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