ストレッチはリカバリーに有効? どう活用すべき?

 

クールダウンでしっかりとストレッチをしないと疲労が残る!

 

 

ということを聞いたり、思っていたりする方は今のところかなり多いかと思われます。

 

では実際のところ、運動後のストレッチは疲労回復にどのように影響するのでしょうか?

 

 

 

 

☆ストレッチのみを実施することでは、疲労回復に効果がみられないとする要素

 

 

・最大筋力

 

・力の立ち上がり率

 

・継続的な筋力発揮で疲労困憊になるまでの時間

 

・バスケ、サッカーなどの試合で蓄積する疲労

 

・間欠的スプリント

 

 

これらについては、運動後、運動間にストレッチを行ったとしても、行わなかったとしても、パフォーマンスの回復度合いにあまり差がないようです。

 

間欠的なスプリント(40m×3)においては、柔軟性がもともと高い選手に、セット間のストレッチによってマイナスの影響が出たといいます。

 

しかし低下の度合いは非常に僅かでした。

 

 

 

☆回復過程にストレッチをすることで、マイナスの影響が出るケース

 

・伸張性運動後(エキセントリックな筋活動を伴う運動後)

 

 

この場合は、ストレッチに少し注意が必要です。

 

 

下の図は、両脚の大腿四頭筋で伸張性運動を実施したあと、片方の脚にだけ、リカバリーの手段として、運動後と次日から毎日30秒×3セットのストレッチを行った時の筋力回復の推移です。

 

 

 

 

 

伸張性の筋力、短縮性の筋力の両方で、ストレッチを実施した脚の回復度合いが低くなっていることが分かります。

 

また、回復度合いは伸張性の筋力でより悪くなっています。

 

 

伸張性運動は、それに伴う筋の微細損傷による炎症反応で、筋肉痛(遅発性筋痛、DOMS)を生じさせます。

 

筋肉痛は

 

・固有受容器性感覚の鈍化 (筋腱の感覚が鈍くなること)

 

・関節可動域の減少

 

・筋力、神経筋の興奮性の低下

 

 

などを引き起こし、痛みがなくなっても一週間程度続くとされています。

 

言ってしまえば、軽く傷害を起こしているようなものです。

 

ここにストレッチを導入することで、筋線維の細胞骨格要素に悪影響を及ぼします。

 

よって、筋肉痛が生じるようなエキセントリックな運動、高強度の運動後のストレッチングは、効率的なリカバリーの点から言うと避けるべきだと言えます。

 

 

ちなみに運動前のストレッチであれば、特にこれらの運動時における、疲労回復度合いに影響はありません。

 

 

 

☆現場でストレッチをどう活用すべきか?

 

ストレッチは関節可動域の向上や、クールダウン時の副交感神経を活性化によるリラックス効果など、メリットは多くあります。

 

ですが、ここまで述べてきたように、注意が必要になる点が多いようにも感じられます。

 

ストレッチのメリットを活かしながら、できるだけマイナスの影響が生まれないための要点を以下にまとめます。

 

 

 

 

・リカバリーのためにストレッチのみを実施しても目に見える効果はあまりない。

 

・高強度のトレーニングや筋力向上のトレーニング後のストレッチ、筋肉痛が生じる、生じている部位のストレッチは避けた方が良い。

 

・高い筋力、パワー発揮が求められる競技では、運動前のストレッチを控えるべきである。

 

・特定の関節可動域が悪く、それがパフォーマンスの制限要因となっている場合は、15-20秒ほどのストレッチ、その筋群の収縮を交互に実施する。

 

・安静時に、いきなり高強度のストレッチを実施しない。

 

 

 

 

「トレーニング前もだめ、トレーニング後もだめ、じゃあ一体どこでストレッチしたらいいのー!!」

 

と、なってしまいそうです…。

 

 

ストレッチの目的が関節可動域の向上であれば、ストレッチだけがその手段ではありませんし、高強度のトレーニング後でも、強く長めにストレッチするようなことでなければ、そこまで悪影響はないかと思います。
 
軽い体操程度であれば問題ないでしょう。

 

ですが、ストレッチを用いて関節可動域を集中的に向上させたいとする場合は、特に高強度のトレーニング頻度、種類、強度等は考えなくてはなりません。

 

これらを踏まえて、自身の練習計画、ウォーミングアップ、クールダウンのルーティーンを考えてみて下さい。

 

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