******これまでの記事はこちら**********************
・ピリオダイゼーション(陸上短距離)①―理論の本質を理解しよう―
・ピリオダイゼーション(陸上短距離)②―一般的体力と専門的体力の違い、および準備期の重要性―
・ピリオダイゼーション③―準備期の過ごし方―
***************************************
試合期の目標
試合期では
「主要な試合に出場する全期間にわたって、スポーツフォームを維持、そして最大限にするための条件を整えること」
|
これが目標となります。
出場する競技会の具体的な条件によって、心身を適応させなければならないため、個々の要素は向上させていくことは行われます。
ここで注意すべき点は、この段階では「競技力につながる土台を根本的に作り変えることはできない」という点です。
なぜなら、この段階では試合で最高の結果を生むための「試合的なトレーニング」や「専門的トレーニング」を高いレベルで行っていくことが必要となり、土台を向上させるのにに十分な一般的なトレーニングを並行することが難しいからです。
そのため、この期間では、十分な回復を取って、最高レベルでの「試合的なトレーニング」や「専門的トレーニング」に集中していくことが重要です。
レース経験は最高のトレーニング
実際のレースの雰囲気では、トレーニングと同じ運動をやるにしても、その負担はかなり大きくなり、心身のポテンシャルを最大限に発揮するよう迫られるはずです。
このような状況を作り出すのは、通常のトレーニングでは不可能なことが多いですよね。
そのため競技会は、運動能力や技術を向上させ、経験を積み、専門的な持久力や精神的なしぶとさを養う上で重要な役割を果たします。
このことから、準備期で培ったスポーツフォームがしっかり獲得できている場合、レースはその選手がさらに向上していくために最重要ともいえる手段とも言えます。
とは言っても、レースばかりだとトレーニング量が不足、一般的、専門的トレーニング効果(土台)を損なう可能性があるので、適宜疲労回復や短い準備期などを入れて対応すべきでしょう。
そして、ここでの技術、戦術、心理的要素の向上はスポーツフォームをさらに仕上げるのに重要な役割を果たします。
特にここでの精神要素のトレーニング、すなわちメンタルトレーニングは「試合への心構えを固めること、心身の能力を最大限に発揮できるようにすること、競技会中の情動をコントロールできるようにすること、満足いく結果が出せなかった時、失敗を正しく受け止め、やる気を失わないようにする」などの役割があり、最重要試合で好成績を残すために非常に重要です。
どれくらい試合に出たらいいか?
選手がどれくらい準備を積んできたか、連戦に対する耐久力(メンタル含めた)をどれくらい持っているかによるでしょう。
または、その種目の特性次第(極限までの持久力が求められるもの「マラソン・混成競技等」は当然高頻度やれない)とも言えます。
いずれにしても、さらなる向上のためには相当な数の試合をこなす必要があり、選手や競技種目の特性を見極め、競技会の目的意識をはっきりさせながら決めていき必要があるでしょう。
******関連記事はこちら************************************
・ピリオダイゼーション(陸上短距離を中心に)①―理論の本質を理解しよう―
・ピリオダイゼーション(陸上短距離を中心に)②―一般的体力と専門的体力の違い、および準備期の重要性―
・ピリオダイゼーション(陸上短距離を中心に)③―準備期の過ごし方―
・ピリオダイゼーション(陸上短距離を中心に)④―試合期の過ごし方―
・ピリオダイゼーション(陸上短距離を中心に)⑤―移行期の過ごし方―
*************************************************
参考文献
・L. P. マトヴェーエフ:魚住廣信監訳・佐藤雄亮訳(2008)ロシア体育・スポーツトレーニングの理論と方法論,ナップ.