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力の立ち上がり率

力の立ち上がり率

 

デコピンがなぜ痛いか?

 

デコピンがなぜ痛いのか考えたことがあるでしょうか?

 

デコピンは親指を使って、人さし指をおさえて、グッと力を溜めてから親指のおさえを外して一気に力を解放させます。

 

痛いですね。

 

では、親指のおさえを使わずに、人さし指をただ思いっきり伸ばすだけではどうでしょう?

 

あんまり痛くないですね。

 

 

 

 

この差を決める要因の一つに「力の立ち上がり」というものがあります。

 

どんな運動でも、最大の力を発揮するには少し時間がかかり、これは個人の特性や運動ごとに変化していきます。

 

 

 

踏切運動では地面へ力を伝達できる時間、投擲では投擲物に力を加えることができる時間がだいたい決まっているので、その間にいかに高い力を発揮できるかどうかは非常に重要な体力要素と言えるでしょう。

 

 

 

一般にアイソメトリックな最大筋力というものを引き出すには0.3-0.4秒ほどの時間を要すると言われています。

 

 

それに対すると、表のような運動局面での力発揮は時間が非常に限られていますので、いかに早く力を立ち上げられるかが重要です。

 

 

 

デコピンの話に戻りますが、親指で人さし指をおさえた状態なら、力を発揮できる時間が長くとれます。

 

そこから一気におさえを外すことで、アイソメトリックな最大力に近い力で人さし指を伸ばすことができるのです。

 

 

陸上競技と力の立ち上がり率

 

陸上競技ではどうでしょう。

 

 

スプリンターは接地の瞬間にできるだけ大きな力を発揮する必要がありますし、そこでより大きな力を発揮するための弾性エネルギー(切り返し運動①②)を効率よく蓄えるためにも、瞬時に力を立ち上げる能力が重要となります。

 

 

また、スターティングブロックからの跳び出し時も同様で、ブロックを押すごく僅かな時間にできるだけ大きな力を発揮しなければなりません

 

さらにこのスタートの跳び出し局面では、切り返し運動(SSC運動)によって大きな弾性エネルギー生み出しながらの力発揮とはやや異なります。

 

ブロックを押す局面では反動をつけることができないからです。

 

 

したがって、スターティングブロックからの跳び出しでは、より力の立ち上がり率が重要な要素になると言えます。

 

 

 

 

要はこの力を発揮できる時間内に、より大きな力を発揮できればいいわけですので、ここでのパフォーマンスを上げるためには

 

①ローギアでの力発揮(最大筋力等)を高める

 

②力の立ち上がり率を良くする

 

 

これらが挙げられます。

 

 

 

 

筋収縮とスピードでも述べた通り

 

 

最大筋力を高めても、力の立ち上がり率や高速での力発揮に優れていなければ、スプリントパフォーマンスは思うように上がらないと考えられます。

 

 

 

 

 

 

オフシーズンを使って、ローギアでのパワーを高めたとしてもなかなか実際のパフォーマンスに繋がらないことが多く見られるのはこのことも関係しているでしょう。

 

 

高めたローギアでの力発揮をハイギアでの実際のスプリントでの力発揮につなげるためにはやはり専門的なトレーニング(競技に近い力発揮様式)を、重要な試合から逆算して、どれくらい前から、どれくらいの頻度で取り組めば良いのか考えることが非常に重要です。

 

 

または、シーズン中でもローギアでのパワー養成と実際の競技に近い力発揮のトレーニングの割合を考えることの大切が分かると思います。

 

 

ここを疎かにするとシーズン序盤での著しいパフォーマンスの悪さ、ピークを合わせるべき試合にベストコンディションで臨めないなどの問題に発展してしまいますね。

 

 

自身のトレーニングメニューが指導者やチームリーダーに依存している場合は特に注意が必要です。(しっかり自分の考えを述べましょう…!)

 

 

 

 

力の立ち上がり率の改善方法

 

考えられるトレーニングとしては、やはり当たり前にはなりますが、

 

「力を素早く引き出さなければならない運動を行うこと」限ります。

 

 

・反動を使わない垂直跳び

 

・反動を使わないメディシンボール投げ

 

・床から引く反動動作のないパワークリーン、スナッチ

 

・短い接地のジャンプトレーニング

 

 

 

など、バリエーション豊富に考えられます。
力発揮の様式を理解しておけば、考え方さえ間違わなければいくらでも工夫ができると思います。

 

 

本来のスプリント中の力発揮を高めるといった目的を見失わないように、普段のトレーニング、これからのトレーニングについて考えてみてください。

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