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三段跳のコントロールテストの目標値(まとめ)

三段跳のコントロールテストの目標値(まとめ)

 

 

ここでは、三段跳で目標の記録を達成するために、どんな種類の体力が、どのくらい必要になるのかをまとめています。

 

 

※ここでいう「体力」とは、ウエイトトレーニング種目や各種ジャンプ力、スプリント力などで評価される筋力や瞬発力のことを指します。

 

 

参考動画(三段跳:U20日本新16m34)

 

 

 

三段跳選手におけるウエイトトレーニング目標値(男子)

 

三段跳選手に必要な筋力を評価する手段として、ウエイト種目での重量測定が挙げられます。いわゆるマックス測定です。稲岡ほか(1993)の研究では、選手の各種ウエイト種目での最大拳上重量から、三段跳選手が目標の記録を達成するための指標が作成されています(下図参照)。

 

 

 

 

しかし、これらのウエイト種目と三段跳のパフォーマンスとの間には、強い関係性はみられておらず、データの数も16名分(三段跳記録レベル:14.90±0.86m)と非常に少ないという問題点もあります。あくまで一つの指標として、捉えるべきでしょう。

 

 

 

 

三段跳選手におけるジャンプテストの目標値(男子)

 

三段跳のパフォーマンスに当然深く関係するのが、選手のジャンプ能力です。これを評価するための簡易的な方法として、立幅跳立五段跳助走付き五段跳バウンディングなどが挙げられます。

 

 

特に、立五段跳や助走付き五段跳、バウンディング能力は、三段跳のパフォーマンスと直接強く関係しており、トレーニングの進捗状況を評価する上で、より重要視すべき能力だと言えるでしょう。

 

 

以下に、記録の目安となる数値を紹介しています。

 

 

 

 

参考動画(立五段跳)

 

 

 

参考動画(バウンディング)

 

 

 

 

三段跳選手におけるスプリント能力の目標値(男子)

 

三段跳において、助走スピードが記録に大きく影響するということは言うまでもありません。この指標についても、稲岡(1993)の報告でまとめられています。

 

 

ただ、先述の通り、この指標は多数の選手における広いパフォーマンスレベルを基に作成されたものではありません。そのため、本研究の対象者レベルから離れた記録レベルにおいては、誤差が非常に大きくなってしまっている危険性があります。あくまで目安として考えてください。

 

 

 

 

 

女子三段跳選手における各種運動能力の目標値

 

女子選手については各種運動能力に関するデータが少なく、ウエイトトレーニングや様々なジャンプテストについて、幅広い目標値を示すことができないのが現状です。

 

 

一方で、立五段跳やメディシンボールの両手バック投げ、走幅跳の記録との関係性から、以下のような指標は報告されています(一部、サンプルの記録レベルから離れたレベルの目標値を推定してまとめています。参考程度に)。

 

 

 

 

 

また、助走中の最大疾走速度と記録の関係性(柴田ほか,2019)、100m疾走中の最大疾走速度と100m、60m、30mタイムとの関係性(松尾ほか,2008)から、三段跳のパフォーマンスの目標となるスプリントタイムを算出して、まとめています。こちらも参考程度に。(上の図では、助走での最大疾走速度が、100m走での最大疾走速度の98%に、下の図では95%に当たると仮定して算出したものです。)

 

 

 

 

 

参考動画(メディシンボールバック投げ)

 

 

 

三段跳記録向上に伴う、各種運動能力の変化

 

最後に、三段跳での記録向上に伴って、実際のコントロールテストの値が変化した事例を紹介します。

 

 

このように、三段跳の記録向上に伴って、立五段跳やメディシンボール投げの記録が向上していることはよくあることです。身体能力の向上は、専門種目の記録向上において重要な意味を持つため、それは当然のことでしょう。

 

 

女子選手では、立五段跳とメディシンボール投げの記録に大幅な向上が確認できます。特に、筋力に劣る女子選手、または記録レベルの低い男子選手では、コントロールテストで用いられるような筋力、ジャンプ力の変化が、専門種目のパフォーマンスにつながりやすいと言われています。

 

 

これは、三段跳のみならず、短距離走や投てき種目についても、同様の傾向がみられます。女子選手や、記録レベルが低い選手では、コントロールテストで測定するような体力と、運動パフォーマンスに比較的強い関係性がみられます。

 

 

一方で、記録レベルが高く、より熟練してくると、そのようなテストの指標と、実際の専門種目のパフォーマンスレベルは比例しづらくなっていくようです(とはいえ、基礎的な体力を向上させることはどのレベルのアスリートにおいても大切です)

 

 

これに関して、上の図の男子選手では、立五段跳の記録向上幅はあまり大きくなく、メディシンボール投げに至っては、記録が低下していました。つまり、このようなレベルになればなるほど、基礎的な体力だけでなく、競技種目に特異的な能力を高めていくことが、より一層重要になるということが言えそうです。

 

 

自身のトレーニングの目標設定や、進行状況の確認に役立ててみてください。

 

 

 

参考文献

・熊野陽人, & 植田恭史. (2015). 走幅跳・三段跳選手の経年的な記録向上に伴うバウンディング能力の変化. 陸上競技学会誌, (13), 11-20.
・稲岡純史, 村木征人, & 国土将平. (1993). コントロールテストからみた跳躍競技の種目特性および競技パフォーマンスとの関係. スポーツ方法学研究, 6(1), 41-48.
・熊野陽人, & 大沼勇人. (2016)陸上競技跳躍選手におけるコントロールテストの目標値の検討.コーチング学研究,31:127-131.
・熊野陽人, 大沼勇人, 相馬聡, 松原奨, & 植田恭史. (2018). 男子学生走幅跳・三段跳競技者における助走五段跳の跳躍距離の目標値. 陸上競技研究, 2018(4), 32-36.
・柴田篤志, 清水悠, & 小山宏之. (2019). 女子三段跳における助走スピードと各歩の跳躍距離および跳躍比とパフォーマンスとの関係. 体育学研究, 64(2), 573-585.
・犬井亮介ほか(2019)女子走幅跳および三段跳競技者における関連種目記録の目標値作成の試み.陸上競技研究,119:30-39.
・松尾ほか(2008) 男女100mレースのスピード変化. バイオメカニクス研究, 12(2), 74-83.


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