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陸上選手がケガを防ぐ&治すための食事・栄養・サプリメント

陸上選手がケガを防ぐ&治すための食事・栄養・サプリメント

 

 

陸上競技はケガが多い?

 

陸上競技は、ケガが特に多い競技であることが知られています。

 

 

自身の筋力、パワー、スピードを極限まで高め、競技会でそれを発揮することを繰り返しているわけですから、身体への負担がそれなりに大きいことは容易に想像できるでしょう。

 

 

実際に、国際レベルのアスリートであっても12人に1人の割合で、怪我をしていることが分かっています(Feddermann-Demontほか,2014)。そして、特に多いのが、ハムストリングの肉離れなどの筋肉系のケガです。

 

 

加えて、女性では中長距離選手、競歩選手の疲労骨折が多く発生していることが知られています。

 

 

 

ケガを引き起こす要因は?

 

Timpkaほか(2017)の報告によると、試合前に、不安が原因になって起こる気分の悪さ、具合の悪さを訴えていた選手は、そうでない選手と比較して、怪我をする確率が5倍も高かったと言います。

 

 

さらに、集中してトレーニングを行う鍛錬期や、試合前の調整期間などは、選手の心理的、肉体的ストレスが増加し、食欲がなくなってしまうことが多くあるようです。そのような期間に十分な栄養が摂れていないことは、当然ケガのリスクを増加させます。

 

 

したがって、競技会前や厳しいトレーニング期間に、上手くストレスと向き合ったり、食事内容をコントロールすることは、怪我を防ぎ、高いパフォーマンスを達成するために重要なことだと言えるでしょう。

 

 

 

ケガを防ぐ&治すための食事の重要性

 

どんなに気を付けていても怪我はしてしまうし、こればかりは防ぎようがない…というケースはもちろんありますが、それでもやっぱり、怪我のリスクをできる限り減らす努力はすべきです。

 

 

けが防止のために、トレーニング内容を見直すことは基本ではありますが、前述の通り、食事内容も非常に重要です。トップアスリートでも「食事には無頓着」という選手もいるのは事実かもしれません。しかし、自身のポテンシャルを最大限に引き出すため、長く競技を、健康的に続けていくためには重視すべき、こだわるべき、それが食事からのアプローチだと言えます。

 

 

食事を改善させることは、怪我を防ぐことだけでなく、怪我からスムーズに競技復帰する際にも大いに効果を発揮するはずです。

 

 

そこでここからは、陸上選手がケガを防ぐ、またはケガからの回復を最大限に促すための栄養摂取(食事・サプリメント)について、紹介していきます(以下、Closeほか(2019):Nutrition for the Prevention and Treatment of Injuries in Track and Field Athletesを中心に解説)。

 

 

 

 

 

 

「筋肉」のケガを防ぐ&治すための栄養摂取

 

タンパク質の摂取

 

怪我を防いだり、怪我からの復帰を早めるためには、筋肉や腱などの組織を作る栄養素はもちろん重要です。その中心となる、材料となる栄養素が「タンパク質」です。

 

 

このタンパク質について、良く勘違いされていることが「摂れば摂るほど良い」という話です。実際のところ、怪我からの回復中や減量中でなければ、1日体重1㎏当たり1.6g以上摂取できていれば、それ以上摂取することでさらなる効果が特別に得られるわけではないとされています(Mortonほか,2018)。

 

 

また、タンパク質は1度の食事で40g程度摂取すること、そして朝、昼、晩、または間食…と、3~4食均等に摂取するのが望ましいとされています。

 

 

意識していないと、朝食のタンパク質は特に不足しやすいため、注意が必要です。

 

 

一方、ケガからの回復中、減量中はタンパク質の摂取を増やすことが重要です。

 

 

特に減量中では、1日体重1㎏あたり2.3g程度のタンパク質を摂取しておくことで、筋肉量を維持する効果が高まります。

 

 

意識して、タンパク質を摂取するようにしましょう。

 

 

 

エネルギー摂取量

 

ケガをしている間はどうしても消費エネルギーは少なくなります。したがって、余分な脂肪が付いてしまうのを防ぐためには、いくらか摂取エネルギーを制限する必要があります。

 

 

しかし、怪我をしている組織の回復にはエネルギーが必要になることも事実です。そのため、劇的に摂取エネルギーを制限してしまうのは良いこととは言えません。

 

 

普段と比べてどのくらい摂取エネルギーを減らしたらいいのか?については、個人差が大きく、はっきりと言うことはできません。非常に多くのトレーニングをこなしていた選手であれば、それ相応の制限をしなければならないでしょう。

 

 

高タンパク質の食事を心がけ、コーチや栄養士と相談しながら、微調整を行っていく必要があります。

 

 

 

脂質(オメガ3)の摂取

 

ケガを防いだり、回復を促すために「脂質の摂取」はあまり重視されていないのではないでしょうか?

 

 

実は、「多価不飽和脂肪酸・オメガ3」と呼ばれる脂質には、筋肉の損傷や炎症を抑え、筋機能を改善する可能性があるとされています。

 

 

オメガ3とは、魚類の油に多く含まれる脂質のことです。DHA(ドコサヘキサエン酸)とか、EPA(エイコサペンタエン酸)という名前を聞いたことは無いでしょうか?オメガ3の脂質とは、それらに該当するものです。

 

 

しかし、オメガ3の効果を得るためには、DHA3500mg、EPA900mgが含まれたフィッシュオイルサプリメントを1日5粒程度摂取する必要があると言われており、この量を満たすためには普段の食事だけでは困難です。したがって、サプリメントを使って補うことが必要になります。

 

 

まだ研究段階だとは言われていますが、オメガ3サプリメントを定期的に摂取しておく価値はありそうです。

 

 

オメガ3サプリメント(My protein)

 

 

 

ビタミンD

 

ビタミンDが不足すると、運動後の筋肉の再生が損なわれてしまう可能性があります。

 

 

ビタミンDは、日光を浴びることによって体内で合成されますが、現代のアスリートは日差しを避ける傾向が強かったり、冬場などではそもそも日差しが弱いことがあります。このことから、多くのアスリートがビタミンD不足になっていることが指摘されています。

 

 

これについても、サプリメントを利用して、冬場であれば1日50-100μg程度は摂取しておくようにすると良いでしょう。

 

 

 

ビタミンC・E

 

炎症を抑える「抗酸化作用」のある栄養素として知られるビタミンCやビタミンEですが、筋肉の損傷を軽減したり、回復を促す効果はそれほど大きくないことが指摘されているようです。

 

 

また、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のあるサプリメントを多くとると、トレーニングによる筋肉の成長を阻害してしまう(トレーニング適応を阻害)可能性も多く指摘されています。

 

 

そのため、サプリメントを用いて補ったりする必要はないと考えられます。

 

 

関連記事

・抗酸化作用のあるサプリメント(ビタミンC・E)は筋力トレーニング効果を半減させる

 

 

 

ポリフェノール

 

あまり注目されませんが、ポリフェノールは筋損傷を軽減し、運動後の筋肉痛や筋機能の回復に効果があるとされています。

 

 

ポリフェノールが豊富な果物や野菜を含んだ食事を心がけましょう。

 

 

ちなみにポリフェノールは、ブルーベリーやブドウ、コーヒー、なす、ココア、豆類、生姜などに多く含まれています。

 

 

 

 

クレアチン

 

クレアチンは、筋力・パワーを高めたり、トレーニングの効率を上げ、筋量を増加させるために有用なサプリメントとして広く利用されています。

 

 

このクレアチンは、骨折や捻挫などによって、腕や足をギプスで固定しなければならなくなった時の筋量・筋力維持にも効果を発揮し、ギプスが取れた後の筋量・筋力の回復もスムーズにしてくれるようです。

 

 

したがって、トレーニング中であれ、怪我をしている期間、リハビリ期間であれ、摂取しておくのが望ましいでしょう。

 

 

摂取量の目安としては、最初の5日間は1日20g、その後は1日5gの摂取になります。

 

 

 

関連記事

・短距離・長距離・跳躍・投てき選手全員がクレアチンを摂るべき理由(陸上競技におけるクレアチンの効果)

 

 

また、クレアチンは他のサプリメントと比較しても非常に安価で、飲みやすい上に、何千もの研究がなされており、きちんと効果が確認されています。サプリメントとしての利用価値は非常に高い代物と言えるでしょう。

 

 

クレアチンモノハイドレート(My protein)

 

 

 

「骨」のケガを防ぐ&治すための栄養摂取

 

疲労骨折は、何千回、何万回と足に負担をかけ続けているランナーを悩ませているケガの一つです。

 

 

ここからは、「骨」のケガを防止したり、回復を早めるための栄養摂取の視点について紹介していきます。

 

 

骨の健康を保つ栄養素

 

骨を丈夫にするための栄養素として、カルシウム、タンパク質、リン、ビタミンD、カリウムなどが挙げられます。

 

 

さらに、マンガン、銅、鉄、亜鉛、ビタミンA、K、Cなどの微量栄養素が不足しないことも重要です。

 

 

これらを確実に摂取するためには、日ごろから乳製品や果物、緑黄色野菜の豊富な食事を心がけておく必要があると言えます。

 

 

 

 

利用可能エネルギー不足を改善

 

利用可能エネルギーとは、摂取エネルギーから、運動したエネルギーを引いたものです。

 

 

摂取エネルギーから運動によるエネルギーを引いたら、残りは基礎代謝と食事誘発性熱生産(食事によって高まるエネルギー消費)だけになります。これらのエネルギーは、体温維持や、細胞内外のイオン濃度の維持、食べ物の消化や吸収に使われるエネルギー量ということになります。

 

 

この利用可能エネルギーが不足しすぎると、骨粗鬆症やそれに伴う疲労骨折のリスクが非常に高くなります。

 

 

減量を求められる場合であっても、利用可能エネルギーが「30kcal/除脂肪体重(kg)/日」を下回ることが無いようにすべきでしょう。理想は「45kcal/除脂肪体重(kg)/日」です。

 

 

「30kcal/除脂肪体重(kg)/日」というのは、体重50㎏の選手で、1200~1300kcal程度になります。これに運動したエネルギー量を上乗せしたものが、1日に摂取すべきエネルギー量になります。

 

 

決して、「1日1200kcalのエネルギー摂取でいいんだ!」と、誤解の無いようにしましょう。

 

 

 

ビタミンD、カルシウム、そして炭水化物の摂取も大切

 

疲労骨折のリスクには、カルシウムやビタミンDといった微量栄養素だけでなく、炭水化物摂取の少なさも関連しているようです。要は、炭水化物の摂取が足りないと、骨の健康を保つことは困難であるということになります。

 

 

激しくトレーニングをする人で1日最低でも、体重1㎏あたり6g程度(体重50㎏の選手で1日1200kcal以上)を目安に、不足しないように心がけましょう。

 

 

加えて、カルシウムは汗をかくことによって体外に多く排出されてしまいます。運動時間が短時間の選手にとっては大した問題ではないかもしれませんが、トライアスロンやマラソン選手では要注意です。

 

 

そのような選手で特に汗をかく時期には、運動前に1300mg以下のカルシウムを多く含んだ食事や1000mg程度のカルシウムサプリメントを摂取しておくことが勧められます。

 

 

 

関連記事

・女性アスリートの3主徴(月経障害・摂食障害・低骨密度)と栄養摂取を考える

 

 

 

「腱・靭帯」のケガを防ぐ&治すための栄養摂取

 

捻挫や、膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)アキレス腱炎も、陸上競技選手をこれでもかと言うほど悩ませている怪我です。

 

 

これらは特に、短距離、跳躍選手やハードル選手に多いとされ、一流選手でも30~45%が腱の痛みを訴えているとも言われています。

 

 

ここからは、それに関わる「腱や靭帯」のケガを防いだり、回復を促すための栄養摂取の視点について紹介していきます。

 

 

 

 

ビタミンC

 

腱や靭帯の回復を促すためには、その組織の基を作っているコラーゲンの合成を促すことが必要です。コラーゲンの合成は、腱に負荷を与えることが重要ですが、ビタミンCの摂取も必要不可欠のようです。

 

 

しかし、コラーゲンの合成に必要なビタミンCの量は1日46mg程度とされ、この量はサプリメントで補わなくとも摂取が容易であると考えられます。それ以上摂取することでコラーゲンの合成が促されるかどうかは不明なようです。

 

 

 

 

コラーゲンペプチド

 

コラーゲンを合成するための材料である、「コラーゲンペプチド」の摂取も注目されています。

 

 

コラーゲンはタンパク質の1種であり、それを細かくしたものがゼラチン、さらに細かくしたものをコラーゲンペプチドと言います。

 

 

「コラーゲンと言っても、もとはタンパク質なんだし、消化されたらただのアミノ酸になってしまうのでは?」との疑問を持つ人もいるかもしれません。

 

 

しかし不思議なことに、より分解された状態であるコラーゲンペプチドを摂取すると、分解された元コラーゲンであるアミノ酸は、元コラーゲンだったことを記憶しており、一度体内で分解されても体内でコラーゲンとして利用されるようなのです(Yamamotoほか,2016)。

 

 

そして、1日2回、2.5gのコラーゲンペプチドの摂取とトレーニングを3か月実施させた結果、コラーゲンペプチドを摂取しなかった場合と比較して、アキレス腱炎の回復が良好になったことも報告されています(Praetほか,2019)。

 

 

アキレス腱や靭帯のケガに悩まされている場合は、ビタミンCを確実に摂り、コラーゲンペプチドを活用するのも一つの手かもしれません。

 

 

 

関連記事

・陸上競技者(短距離・長距離)のためのアキレス腱痛対策(リハビリ・トレーニング・栄養摂取) 

 

・コラーゲンを摂取したらきちんと吸収されて、コラーゲンとして使われるのか?

 

 

 

まとめ

 

あらゆるケガに共通して言えることは、エネルギー不足のままトレーニングをしていると、確実にケガのリスクは増加するということです。

 

 

また、怪我からの回復過程では、基本的にアンダーカロリー(摂取カロリーよりも消費カロリーが多くなる)にすべきではありません。なぜなら組織の回復にはエネルギー余っていることが重要になるからです。

 

 

したがって、怪我をしている場合は、多少体重が増えてしまうことは恐れず、栄養を満たして、怪我の治癒を最大限に促すことが必要でしょう。練習に復帰してから、最適な体重を目指す…というアプローチの方が合理的かもしれません(だからと言って暴飲暴食はいけません)。

 

 

これらを踏まえたうえで、自身に不足している栄養素は何かを吟味しながら、食生活、サプリメントの活用の仕方を再考してみてはどうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

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参考文献

・Feddermann-Demont, N., Junge, A., Edouard, P., Branco, P., & Alonso, J.M. (2014). Injuries in 13 international Athletics championships between 2007–2012. British Journal of Sports Medicine, 48, 513– 522.
・Timpka,T.,Jacobsson,J.,Bargoria,V.,Periard,J.D.,Racinais,S.,Ronsen, O., ::: Alonso, J.M. (2017). Preparticipation predictors for championship injury and illness: Cohort study at the Beijing 2015 International Association of Athletics Federations World Championships. British Journal of Sports Medicine, 51, 271–276.
・Graeme L. Close , Craig Sale, Keith Baar,Stephane Bermon(2019)Nutrition for the Prevention and Treatment of Injuries in Track and Field Athletes.Int J Sport Nutr Exerc Metab, 29(2), 189-197.
・Morton, R. W., Murphy, K. T., McKellar, S. R., Schoenfeld, B. J., Henselmans, M., Helms, E., ... & Phillips, S. M. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med, 52(6), 376-384.
・Yamamoto et al. "Absorption and Urinary Excretion of Peptides after Collagen Tripeptide Ingestion in Humans." Biological and Pharmaceutical Bulletin 39.3 (2016): 428-434.
・Praet, S., Purdam, C., Welvaert, M., Vlahovich, N., Lovell, G., Burke, L., ... & Waddington, G. (2019). Oral Supplementation of Specific Collagen Peptides Combined with Calf-Strengthening Exercises Enhances Function and Reduces Pain in Achilles Tendinopathy Patients. Nutrients, 11(1), 76.

 

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