「体力トレーニングの概念」
「トレーニング効果の転移」
でも述べた通り、短距離練習をせずに筋トレだけでは、パフォーマンスは上がりません。
ここでは、短距離、筋トレというワードにとらわれず、トレーニング効果をパフォーマンスにつなげるための仕組みについてみていきます。
エンジンだけじゃ車は走らない
車を動かすためには、エンジンだけではなく、運転手やガソリン、タイヤ、吸排気口、燃料等各種供給菅などが必要です。
これらどれ一つ欠けても、車はうまく動きません。
人間の身体も同じように、筋肉はエンジンの役割、脳は運転手、ガソリンが糖質や脂質、タンパク質などのエネルギー源、タイヤが力を伝達する骨や腱、関節であり、燃料供給、吸排気口は心肺機能と言い換えることができます。
エンジンを大きくするだけでは、パフォーマンスは上がらない
例えば、レーサーが乗っているレーシングカーのエンジンが、普段よりも高い出力を出せるようになったとします。
では、このレーサーはすぐに、レースで良い結果を残すことができるのでしょうか?
最高の腕を持つレーサーであれば、すぐに高いパフォーマンスを発揮できるかもしれません。しかし、実際にはエンジンが急に大きくなったことにより、コントロールが難しくなったり、ガソリンが足りなくなってしまったり、タイヤが保たなくなってしまったりと、様々なマイナスの可能性が考えられます。
このように、エンジン一つが急に大きくなっても、すぐにパフォーマンスにつながるわけではないのです。
エンジンが大きくなれば、当然ハンドルの扱いは難しくなります。大きなエンジンで出すスピードに対応して、ハンドルをコントロールする練習をしなければパフォーマンスにつながりません。
したがって、図のような運転手以外の各要素を部分的に伸ばしたとしても、結局は、その車を使いこなす、運転手の技量、脳を鍛えなければパフォーマンスには繋がりにくいのです。
スポーツに置き換えると、技術練習をすることです。
目的のパフォーマンスには何が求められているのか?
運動パフォーマンスと言っても、様々なものが考えられます。それは運動競技種目によって多様です。
持久走であれば、長くエネルギーを供給し、効率よく運動を続けられるための能力が重要です。
短距離走であれば、爆発的でスピーディーにパワーを生み出す能力が重要です。
このようにパフォーマンスに要求される能力は、運動種目によって異なります。
自分が目的とするパフォーマンスに必要な要素をしっかりと理解して、自分に足りないものをトレーニングして、競技の練習につなげていくことを繰り返していく。
これが、トレーニング効果をパフォーマンスにつなげるための方法であると言えます。