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朝食と運動パフォーマンスの関係性(アスリートにおける朝食の重要性)

朝食と運動パフォーマンスの関係性(アスリートにおける朝食の重要性)

皆さん、「朝起きたばかりは食欲が無い」「時間が取れない」などの理由で、ついつい朝食を抜いてしまうことはありませんか?

 

 

実は、朝食は筋肉量を保持したり、練習の質を高めるためにも非常に重要な役割を果たしています。

 

 

ここでは、朝食が試合や練習のパフォーマンスに与える影響や、朝食と筋肉量の関係について紹介していきます。

 

 

 

朝食を抜くと、午後のパフォーマンスに悪影響が出る

 

Cornford & Metcalfe(2019)の研究では、朝食を抜いた場合とそうでない場合で、夕方(16:30ー18:00)の2000mローイング(ボード競技)のタイムを比較しています。

 

 

その結果、朝食を抜いた場合では有意にパフォーマンスが低下していました。当然ですが、朝食を抜いたことによって朝と昼の合計摂取エネルギーは少なくなっていました。

 

 

また、Claytonほか(2015)の研究でも、朝食を摂った方が夕方の30分間のサイクリングテストのパフォーマンスが高くなったことを報告しています。

 

 

 

 

※Cornford & Metcalfe(2019)より作成

 

 

 

このように、夕方にトレーニングや試合を行う場合、朝食の有無がパフォーマンスに影響する可能性は高いということが分かります。

 

 

では、なぜ、朝食の有無が午後のパフォーマンスに影響を与えるのでしょうか?

 

 

それには筋肉内のグリコーゲンの貯蔵量が関係していると考えられます。

 

 

筋グリコーゲンは筋肉内に貯蔵されている「糖質」のことです。このグリコーゲンが少なくなってしまうと、筋肉は大きなパワー、持続的なパワーの発揮能力が落ちてしまいます。そしてこの筋グリコーゲンは、トレーニングで消耗後、食事を摂ったとしてもすぐには回復せず、完全に回復するまで数日かかることがあります。

 

 

そのことを考えると、朝食を摂らなかった場合と比較して、朝食で糖質をしっかりと摂取していた場合では、筋グリコーゲンの貯蔵がより満たされ、高いパフォーマンスにつながったのだと考えられます。

 

 

※Cornford & Metcalfe(2019)では、朝食を摂らなかった場合でも、パフォーマンステストの3-4時間前にあたる昼食でかなり多くの糖質を摂取しているから、グリコーゲンの貯蔵量の違いがパフォーマンスの差の原因ではないのではないか?と考察されています。しかし、昼食時に他の食材を含め多量の食事を摂ってしまっていることと消化吸収効率、グリコーゲンの貯蔵速度などを考慮すると、やはりグリコーゲンの貯蔵量が影響していると考えるのが妥当ではないのかな?と管理人は推察しています。

 

 

 

朝食は、筋肉量の保持増進にも役立つ

 

朝食と筋肉量の関係性を調べた興味深い研究があります。それがYasudaほか(2018)の研究で、ここでは朝食の有無と四肢の除脂肪体重(脂肪を除いた体重、要するに筋量の指標。)との関係が調査されています。

 

 

その結果、日常的に朝食を摂っていない人ほど、筋肉量が低い傾向があることが分かりました。

 

 

筋肉量を増やすためには、筋タンパク質の合成を促す必要があります。しかし、摂取エネルギーが低く、消費するエネルギーが多くなってしまうと、体の組織が分解される作用の方が強く働いてしまいます。

 

 

そのため、筋肉量を維持、向上させていくためにはこまめに摂取エネルギーを増やすことが重要で、朝食を摂ることによってそれが達成されやすくなるというわけです。

 

 

 

アスリートがフィジカルを向上させるためには朝食が必須

 

以上のことから、朝食はその日の午後の運動パフォーマンスを向上させ、筋肉量の保持増進を図るためにも重要であることが分かります。

 

 

特に学生などは夕方に練習がある場合が多いため、朝食を摂って学校に行く習慣くらいはつけておくべきでしょう。(午前中から練習がある場合は、前日の夜の食事が重要になると考えられます。)

 

 

トレーニングでのパフォーマンスを高めることは、トレーニング効果を高めるためにも重要なことです。出来るだけ良い状態で練習や試合に臨めるように準備しておくことは、アスリートとして必須な行いであると言えるでしょう。

 

 

ただ、普段朝食を摂らないような人が朝食を摂るようになれば、摂取エネルギーは当然増え、短期間でも体重は増加しやすくなると考えられます。

 

 

筋肉量を増やしていくことが重要な期間であれば問題はないですが、大切な試合の直前などに習慣を変え、急激な身体(体重)の変化を起こしてしまうことには注意しなければなりません。

 

 

また、朝は食欲がない、かつ減量中である場合は、あえて朝食を抜くことが有効に働く場合があるかもしれません。心理的な負担は軽い状態で摂取エネルギーをカットすることができるからです。しかし、筋肉量を維持することを考えると、プロテインくらいは摂取しておいた方が良いでしょう。

 

 

 

 

まとめ

 

・朝食の有無は特に午後の運動パフォーマンス(高強度かつ持久系)に影響する。

 

・朝食の有無は筋肉量の多さに影響する。

 

・筋肉量を増やすという意味でフィジカルを向上させたり、トレーニング効果を最大限に得るためには朝食を摂ることが望ましい。
 

 

 

 

 

参考文献

・Cornford, E., & Metcalfe, R. (2019). Omission of carbohydrate-rich breakfast impairs evening 2000-m rowing time trial performance. European journal of sport science, 19(1), 133-140.
・Clayton, D. J., Barutcu, A., Machin, C., Stensel, D. J., & James, L. J. (2015). Effect of breakfast omission on energy intake and evening exercise performance. Medicine & Science in Sports & Exercise, 47(12), 2645-2652.
・Yasuda, J., Asako, M., Arimitsu, T., Fujita, S. (2018) Skipping breakfast is associated with lower fat-free mass in healthy young subjects: a crosssectional study. Nutrition Research,60: 26-32.

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