人間は日々絶えずエネルギーを生み出しています。日常生活をしているときも、何かのスポーツ・運動をしているときも、無酸素性のエネルギー供給系と有酸素性のエネルギー供給系はどちらも常に働いています。激しい運動の時は無酸素系だけ、ゆったりとした強度の低い運動では有酸素系だけ・・・というわけではありません。
ただ、運動の強度によって、無酸素系と有酸素系の貢献度合いが変わってきます。
例えば、短距離走の100m走では、80%が無酸素系のエネルギー供給であるのに対し、200m走では66%、400m走では約50%になると言われています。
よく、短距離走は「無酸素運動だ」と言われることがありますが、この図を見ると必ずしも無酸素性のエネルギー供給だけが働いているわけではないということが分かります。10秒足らずで終わる100m走であっても、20%は有酸素系からのエネルギー供給です。
これは、体内には予め酸素の備蓄があり、運動開始後数秒で、その酸素を利用したエネルギー供給が始まるからです。たとえ数十秒の間に呼吸をして酸素を取り入れて、それをエネルギーにして…ということを行わずとも、人間の身体は酸素を使ってエネルギーを生み出すことができるというわけです。
そして、どの種目においても、その種目特性に応じたエネルギー供給系をトレーニングしていく必要があります。
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参考文献
・八田秀雄(2009)日本トレーニング科学会編,スプリントトレーニング―速く走る・泳ぐ・滑るを科学する―. 朝倉書店.