ウォーミングアップのやり方には、人それぞれの方法があるのは当然です。しかし「とにかく何したら良いかよくわからない」という選手も多いことと考えられます。そのような人は、まず以下のウォーミングアップの手順を参考にしてみてください。
①軽く身体を動かして状態をチェックしよう
体育の授業でやるような準備運動でもよいので、まずは身体を動かしてみましょう。股関節や膝、足首、腰回り、上半身など、色々な関節の動きをチェックしてみます。ここで身体に異常がないかを確認しておくことは、怪我を防いだり、トレーニング内容、試合の内容を考える上で重要な意味を持ちます。
身体に違和感がある場合は、その後の運動を取りやめたり、その部位を軽くほぐしたりしておきましょう。痛みがあるときは必ずチームの指導者に相談してください。テニスボールやフォームローラーを使って、気になる筋肉を刺激しても良いでしょう。その場合は、強引にほぐしすぎないように注意してください。
②身体を温めよう
軽いジョギングなどで身体を温めます。ジョギングでなくとも、以降に紹介する動的ストレッチや簡単な種目のドリルを行いながら温めるのでも良いでしょう。競技レベルやその日の気温にもよりますが、5~15分程度、ある程度連続的に身体を動かせるものが良いかもしれません。最終的に筋温が高まらないといけないので、目安としては「少し汗ばむ」ことを目指して実施します。
とは言え、当然動き過ぎには注意です。筋温はすぐに下がるものでもないので、きついなと思ったら恐れず休息を挟みましょう。
また、筋温を上げることが目的になるので、それを効率よく行おうと思ったら、服装は「やや厚着」にしておきましょう。ウォーミングアップでの動きの邪魔にならず、かつ身体が温まる服装であればベストです。加えて、その日が非常に寒い場合は、事前に軽くシャワーを浴びるなどして身体を温めておくことも有効です。
③可動域を確保しよう
次に、関節の可動域を確保します。目的の種目によって異なる部分はもちろんあるでしょうが、股関節や肩関節、体幹部の可動性はあらゆる運動パフォーマンスに関わります。腰回りは安定させながら、股関節を大きく動かすハードルドリルを実施したり、姿勢を安定させながら、肩や股関節を連動させて行うダイナミックなストレッチを行うのもアリでしょう。
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④種目に応じたドリル、動きの確認をしよう
身体を滑らかに動かす準備ができたら、種目に応じたドリルなどを通して、より実践的な動き、力発揮を高めていきましょう。短距離走、跳躍であればスプリントドリル、踏切ドリルを行ったりしましょう。長距離であってもスプリントドリルを行って、走りのキレを生み出すような準備を進めていきます。
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⑤その種目の部分練習・全体練習をしよう
その後、高いスピードで流しをしたり、その競技種目の部分練習を行います。その日の調子を確認しながら、その日最もパフォーマンスを発揮できるための技術の調整をすることが重要です。短距離であれば、スターティングブロックからの加速、跳躍であれば短い助走からの踏み切り、助走合わせなどで、いつもの動きとの誤差を確認しておきましょう。
また、400mや800m走であれば、疲労が溜まり過ぎない程度に「レース前半の入り」だけを走る確認を行うなどして、ある程度呼吸が乱れるような刺激を入れておくことも重要です。
⑥その種目で最高のパフォーマンスをするための「事前刺激」を入れよう
短距離走であれば、先に紹介した「トーイング走」を実施したり、長距離走でも軽くジャンプ系の運動を入れたりして、スピードを極限まで引き出す、走りの効率を高めるような運動を行いましょう。これは、試合の前ならウォームアップの最後、招集時間の直前くらいに実施しておきます。招集開始からレース、試技まで30分以上空くことが多いからです。
ただ、これを「強度の高い運動=キツイ運動」と勘違いして、ガンガン長い距離を走り込んでしまったりしないように注意しましょう。