平行筋と羽状筋、筋肉の付着部とテコの関係によって、その関節がスピードタイプか、フォースタイプかに分かれるということを紹介してきました。
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そして、そのスピードタイプとフォースタイプを分ける要因として、さらに「サルコメアの長さ」というものがあります。
サルコメアとは?
サルコメアとは、筋肉が収縮する一つの単位です。
筋肉は、
筋肉
筋線維
筋原線維
というふうに、階層構造がなされており、その筋原線維の中を覗いてみると、サルコメアというものが観察されます。
この中の、太いフィラメント(ミオシンフィラメント)と細いフィラメント(アクチンフィラメント)が、互いに滑り込むことによって、筋収縮が起きるのです。
☆サルコメアが縮むスピードは一定
筋原線維の中のサルコメアには、長いものもあれば、短いものもあります。
そして、このサルコメアが縮むスピードは基本的に一定です。
下の図を見てみましょう。
サルコメアの縮むスピードが一定であるなら、全体としては同じ長さでも、サルコメアが2つ場合、1つの場合よりも、速く縮むことになります。
同じ筋線維の長さであっても、サルコメアが多いほど、収縮スピードは高くなるということです。
しかし、上の図で、サルコメアが1つの場合は、2つの場合よりも大きな力を出すことができるのです。
ちなみに、非常に強いハサミを持つクワガタの筋肉は、このサルコメアが非常に長いという特徴があります。
ヒトの筋肉では、サルコメアの長さにあまり違いは見られませんが、筋肉がスピードタイプなのか、フォースタイプなのかを決める要因は、非常に様々であり、簡単には説明できるものではないと言えるでしょう。
参照文献
・寺田新. (2017). スポーツ栄養学: 科学の基礎から 「なぜ」 にこたえる. 東京大学出版会.
・石井直方(2015).石井直方の筋肉の科学.ベースボール・マガジン社.
・山地啓司, 大築立志, 田中宏暁 (編), スポーツ・運動生理学概説. 昭和出版: 東京(2011).