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子供の熱中症を防ぐために

子供と熱中症

 

子供は元気いっぱいで、大人や高齢者よりも熱中症のリスクが低いと思われることもしばしばです。しかし、実は子供の方が熱中症につながるリスクを多く抱えているとも言えます。

 

ここでは、体温上昇における子供の特性と、子供ならではの熱中症対策について紹介します。

子供と大人における、暑さ耐性の違い

熱を逃がしにくい身体のサイズ

子供は、体重に対する体表面積が大人よりも広く、外気の影響を受けやすい形態をしています。人間は皮膚を介して熱を吸収、または放散させるので、子供の身体は「熱されやすく、冷めやすい」特性です。

 

したがって、外気温の高い夏場では、子供は特に体温が上がりやすくなります。

 

 

汗をかく能力が未熟

子供は大人と比較して、汗をかく能力が40%低いと言われています(Rowland et al., 2008)。そのため、汗の蒸発で身体の熱を奪い、体温を下げることが難しいです。

 

その代わり、子供は頭部や体幹部の皮膚血流量を増やし、熱を外に逃がそうとする働きが強くなります(中村,2021)。

 

暑い環境下で、子供の顔が火照った状態になりやすいのは、必死に熱を外に逃がそうとしているサインとも言えるわけです。運動中は、子供の様子を注意深く観察し、適宜「風通しの良い日陰で、休息を促す」ことが必要です。

 

 

 

子供は脱水に気づきにくい

子供は、運動前からすでに脱水の可能性が高いと言われます。ある調査では,スポーツ活動前の段階で7割以上の子供が脱水状態だったことを報告しています(Decher et al., 2008)。

 

特に、夏場は食欲減退しやすく、それに伴い事前の水分、ミネラルの摂取量も不足します。さらに、激しい運動中は、子供はのどの渇きを忘れて、運動し続けてしまうケースがあります。

 

したがって、暑い環境での運動前には、食事を抜かず、事前に水分とミネラルを補給し、運動中も「計画的に」水分補給を実施「させる」ことが必要です。

 

 


※運動前の尿の色は、脱水の良い指標になります。水分補給の重要性を子供に学習させることは、熱中症防止のために有効な手段です。その材料として、上図を活用してみて下さい。

 

 

子供の方が「暑さ慣れ」しにくい

暑い環境で過ごしたり、運動したりすることで、人間の身体は汗をかきやすく、皮膚血流量や血漿量が増えたり、安静時の体温を低く保てるようになったりと、暑くても体温を正常に保てるよう適応できます。これは「暑熱順化」と呼ばれています。

 

この暑熱馴化にかかる期間は4日間程度(Lind,1963)、アスリートが高いパフォーマンスを発揮するには7~10日間(Bergeron et al., 2012)かかると言われています。

 

しかし、子供は大人よりも、この暑熱順化の効果が得られにくいことが示唆されており(Wagner, 1972)、暑さ慣れが不十分な状態での運動に、より注意が必要です。

 

また、この暑熱順化の効果は、1週間~3週間程度で消失してしまい、効果を保つためには、5日に1回は暑い環境で運動を行うことが必要だと言われています(安松,2021)。

 

お盆休みなどで、クーラーの効いた部屋に1週間も居続けると、暑熱順化の効果は大きく失われると考えられます。長期休みでも5日に1度は、汗をかくような環境で運動しておくと良いでしょう。

 

また、夏季休暇後のスポーツ活動への参加の際は、休暇中の子供の過ごし方を考慮して、休息を多くする、負荷を徐々に上げるなど、慎重に練習内容を管理する必要が出てきます。

 

子供の熱中症の予防策

以上のことも含め、子供の熱中症を予防するためには、以下の点に注意する必要があります。

 

  • 暑さ慣れをしておこう(急な暑さには要注意)
  • 食事、運動前の水分補給を忘れずに
  • 熱中症、脱水に対する子供への学習(尿の色と脱水の関係に注意させる)
  • 通気性の良い、涼しい格好で
  • 運動中は冷たいスポーツドリンクをこまめに「飲ませる」
  • 顔のほてりに要注意

 

また、運動中の体温上昇を抑えるためには、以下のようなものを活用することができます。身体の外側から+内側からの冷却を組み合わせることが重要です。

 

 

 

手のひら冷却

手のひらは体積に対し表面積が広く、身体の中心へ戻る多量の血液が流れる血管があります。そのため、冷たいバケツに前腕を浸すことで、効率よく体温を下げられることが知られています。

 

冷たいものを手に持っておくことでも、ある程度の効果が望めると考えられます。

 

 

冷たいスポーツドリンク

冷たいスポーツドリンクを飲むことで、身体の内側から深部体温を下げることができます。運動中は水分だけでなく、多量の電解質も失われるため、水やお茶よりも、スポーツドリンクの摂取がおすすめです。薄めずに摂取してください。

 

最近では、水分と電解質、糖質を微細な氷のまま摂取できる、アイススラリーというものも活用されています。コンビニなどでも徐々に販売が進んでいます。

 

 

 

首冷却、濡れタオル、氷嚢の利用

首を冷却するグッズや、濡らしたタオル、氷嚢を身体各部に当て、熱放散を促すことも有効です。汗をかきにくい子供には、特に有効だと考えられます。局所よりも、体表面の広い面積を冷却することが重要です。

 

熱中症が疑われたら?

熱中症が疑われたら、以下のように対処する必要があります。

 

 

 

急に熱くなる初夏や、暑さ耐性が失われやすいお盆明けは、特に熱中症に注意が必要です。子供の健康的なスポーツ活動には、コーチ陣だけでなく、周囲の理解とサポートが必須です。

 

参考になされてみて下さい。

参考文献

・Rowland, T., Hagenbuch, S., Pober, D., & Garrison, A. (2008). Exercise tolerance and thermoregulatory responses during cycling in boys and men. Medicine and science in sports and exercise, 40(2), 282-287.
・中村大輔(2021)子供の暑さ対策.長谷川博&中村大輔,編著,スポーツ現場における暑さ対策―スポーツの安全とパフォーマンス向上のために―.pp119-pp128.
・長谷川博(2021)身体冷却.長谷川博&中村大輔,編著,スポーツ現場における暑さ対策―スポーツの安全とパフォーマンス向上のために―.pp90-pp103.
・安松幹展(2021)暑熱順化.長谷川博&中村大輔,編著,スポーツ現場における暑さ対策―スポーツの安全とパフォーマンス向上のために―.pp74-pp89.
・Decher, N. R., Casa, D. J., Yeargin, S. W., Ganio, M. S., Levreault, M. L., Dann, C. L., ... & Brown, S. W. (2008). Hydration status, knowledge, and behavior in youths at summer sports camps. International Journal of Sports Physiology and Performance, 3(3), 262-278.
・Lind, A. R. (1963). Optimal exposure time for development of acclimatization to heat. In Fed. Proc. (Vol. 22, No. 3, pp. 704-708).
・Bergeron, M. F., Bahr, R., Bärtsch, P., Bourdon, L., Calbet, J. A. L., Carlsen, K. H., ... & Engebretsen, L. (2012). International Olympic Committee consensus statement on thermoregulatory and altitude challenges for high-level athletes. British journal of sports medicine, 46(11), 770-779.
・Wagner, J. A., Robinson, S., Tzankoff, S. P., & Marino, R. P. (1972). Heat tolerance and acclimatization to work in the heat in relation to age. Journal of Applied Physiology, 33(5), 616-622.
・Armstrong(2000)Performing in extreme environment. Champaign, Human Kinetics.
・スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック.日本体育協会(https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke_0531.pdf).

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