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陸上競技と熱中症対策(暑さに負けず、高いパフォーマンスを発揮するために)

陸上競技と熱中症対策(暑さに負けず、高いパフォーマンスを発揮するために)

 

 

陸上競技と暑熱環境

 

陸上競技のシーズンは、そのほとんどが気温が高い時期です(駅伝、マラソンシーズンを除く)。特に7月~9月のシーズン半ばは気温が高く、ここでインターハイやインカレが行われたり、秋に向けた鍛錬期として、多量のトレーニングを行う機会が多かったり、とにかく非常に暑い中でトレーニングや試合をこなすことになります。したがって、この暑さをいかに乗り越えながらこの時期を過ごしていけるかは、競技力を高めるため、選手の安全を確保するために重要なことだと言えます。

 

 

熱中症のリスク増

暑さの中で競技を行う上で、まず注意しなければならないのが「熱中症」です。気温が非常に高い環境では、熱中症のリスクがグンと高まります。そして何より、この熱中症は死亡事故にもつながりかねない、絶対に軽視してはならないものです。そのため、熱中症を防ぐためにも、選手やコーチ、その周囲の人たち含めて、正しい知識を備えておくことが必要です。これに関するいくつかの記事を、いかにまとめています。

 

 

関連記事

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パフォーマンスの低下

暑い中での運動は「いつもよりしんどい…」と感じることは無いでしょうか。気温が非常に高い中では、特に持久的な運動パフォーマンスは低下しやすいと言われています。短距離走のような高強度運動では、逆にパフォーマンスが高まりやすいとも言われていますが、練習時などでより多くのスプリントトレーニングをこなすとなれば話は変わります。短いスプリントでも、長時間に渡るトレーニングになると、そのパフォーマンスは低下しやすくなってしまいます。練習の質を高めるためにも、暑さ対策は必須です。

 

 

 

 

 

熱中症を防いで、練習や試合でのパフォーマンスを高める工夫

 

暑さによる悪影響(熱中症やパフォーマンスの低下)を防ぐためには、体温を上昇させにくくする、または下げることが大切です。要するに身体を冷やしましょうということです。具体的な冷却方法については、以下のようなものが挙げられます。

 

 

※スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック.日本体育協会(https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/heatstroke_0531.pdf)より引用。

 

 

 

以下、陸上競技のトレーニングの実践の場で使えそうな冷却の方法、その注意点について紹介していきます。

 

 

練習前の冷却(プレクーリング)

練習前に身体を冷やしておく方法です。これによって練習中の体温の上昇を防ぐことができます。冷たいドリンクやアイススラリーと呼ばれる、凍った飲み物を活用すると良いでしょう。走る前に水を浴びておいたり、手を冷やしておくだけでも効果が得られます。その際、氷水の入ったバケツをいくつか用意しておくと便利です。

 

 

また、アイススラリーが手に入らない場合は、糖質が多くて冷たいアイス(ガリガリ君やシャーベットなども活用可能)を食べるとか、冷たいドリンク(飲める系のシャーベットみたいなのでも可)を飲むとか、いろいろと工夫できます。

 

 

また、最近では脇の下や首元ではなく、手のひらや頬を冷やすことで、体温を効率よく下げることができると言われています。ビニールに氷を入れて鷲掴みしたまま頬に当てておくと良いかもしれません。

 

 

 

練習中、休息中の冷却

上のようなことを練習中にやったり、休息中にやることも効果的です。ただ、脚を氷水に浸けるなどでガッツリ冷やすと、その後 直後の瞬発系のパフォーマンスは下がるので、そこだけは注意しましょう。

 

 

ドリンクは薄めない、冷たいものを

汗をたくさんかくと、体内の電解質というものが減ります。これを補給するのに、スポーツドリンクは効果的です。しかし、薄めると十分に電解質を補給できず、筋肉がけいれんを起こしてしまうことがあります。これは、熱中症の一つである「熱けいれん」として知られているものです。スポーツドリンクは薄めずに、できる限り冷たいものを用意して下さい。お金より命が大切です。

 

 

トレーニング後、午前練習後などに糖質を含んだ水分+タンパク質を摂取

トレーニングで多く汗をかいたあと、糖質とタンパク質を多く含んだ飲み物を摂取することで、血液の中の水分量を保ちやすくなります。これを継続することで、結果として発汗能力が落ちにくく、体温を下げる働きを維持できます。糖質の多いジュースとプロテインを飲んで、午後の暑さに備える…などすると良いでしょう。糖質、タンパク質だけでなく、カルシウムなどの微量栄養素も豊富に含む、牛乳も活用可能です。

 

 

 

 

練習後の冷却

練習後、次の練習がその日のうちに控えていたりする場合、練習後に体温を下げておくことが有効です。これは、午前~午後にかけて試合があるような場合にも言えることでしょう。ただ、最近では、トレーニング後に身体を冷却すると、トレーニング効果が損なわれてしまうと言ったデータも増えてきています。したがって、トレーニング後の冷却は、上がりすぎた体温を元に戻す程度にしておくと良いでしょう。

 

 

 

 

参考文献

・競技者のための暑熱対策ガイドブック.国立スポーツ科学センター.(https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu_2-23pp.pdf
・Goto, M., Okazaki, K., Kamijo, Y. I., Ikegawa, S., Masuki, S., Miyagawa, K.,& Nose, H. (2010). Protein and carbohydrate supplementation during 5-day aerobic training enhanced plasma volume expansion and thermoregulatory adaptation in young men. Journal of applied physiology, 109(4), 1247-1255.

 


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