暑熱順化とは?(暑さ慣れでパフォーマンス低下を防ぐ))

暑熱順化とは?(暑さ慣れでパフォーマンス低下を防ぐ)




暑熱順化とは?(暑さ慣れでパフォーマンス低下を防ぐ)

 

 

暑熱順化とは

 

暑熱順化とは、簡単に言えば「暑さ慣れして、暑さに負けにくい体質を作ること」です。通常、気温が非常に高い中で持久的な運動を行うと、パフォーマンスは低下する傾向があります(下図参照)。しかし、暑熱順化効果を得ることで、夏場の炎天下などの高気温の中でも、運動パフォーマンスを損なわずに済むことができます。

 

 

 

 

暑熱順化の効果としては、以下のようなことが挙げられます。

 

 

安静時の体温の低下

安静時の体温が下がることで、暑い中で運動を行っても、いくらかの体温の上昇に耐えられるようになります。体温上昇のキャパが増えるようなイメージです。

 

 

低い体温でも汗をかけるようになる

ヒトは汗をかき、その汗が気化するときに熱が奪われることで、体温を下げようとします。暑熱順化を行うことで、まだ低い体の時から汗をかき始めることができるようになります。これによって、体温の上昇を早い段階から防げるようになるというわけです。

 

 

皮膚血流量、血漿量の増加

皮膚の血流量が増加することによって、血液が冷やされ、体温が下がりやすくなります。また、血液の液体成分(血漿)が増加することで、より発汗しやすくなったり、熱を外に逃がしやすくなります。これらも暑熱順化の効果の一つです。

 

 

 

暑熱順化効果を得るためには?

 

暑熱順化効果を得るためには当然、「暑い中で運動を行うこと」が必要です。涼しい場所ばかりでトレーニングをしていても、この効果は得られません。したがって、夏場の暑い時期に重要なレースがある場合、6~7月初旬ごろから暑さに慣れる工夫をしておく必要があるわけです。

 

 

おおよそ、暑熱順化効果は暑い中でトレーニングし始めて3~7日間程度で得られるようです。トレーニングしているアスリートが暑熱環境下で高いパフォーマンスを発揮するには、7~10日ほどの順化期間が必要だとも言われています。

 

 

また、暑熱順化のトレーニング方法としては、深部体温を1℃以上上昇させるようなトレーニングが必要だとされており、60分~100分前後の軽~中強度の持久運動が良く用いられます。これは、「楽だと感じる~ややきつい」くらいのジョギング程度の運動です。要は体温を高めて汗をかき、熱を外に逃がそうとする働きを促す、そういった刺激を与えることが重要です。

 

 

 

 

もう少し強度の高い運動を行うのでも順化効果は得られるようですが、強度の高いインターバルやレペティションのようなトレーニングを、非常に暑い中に多量行うのは、トレーニング中の集中力も削がれやすく、トレーニングの質が低下してしまう恐れがあります。そのようなリスクが高いと判断できる場合、暑熱順化のトレーニングは低強度で暑い時間帯に、強度の高いトレーニングは夕方の涼しい時期に行うようにすると良いかもしれません。

 

 

加えて、暑熱順化の効果を一度得ると、その効果は1週間程度は持続すると考えられています。しかし、個人差もあるため、できれば継続して、3日以上空けないように、暑熱順化トレーニングを継続する方が良いでしょう。

 

 

 

暑熱順化効果は、暑くない環境でのパフォーマンスも高める

 

暑熱順化効果は、暑い時のパフォーマンス低下を防ぐだけでなく、そこまで暑くない気温時や、寒い環境でのパフォーマンスも高めることが分かっています。安静時の体温が下がったり、発汗が早まったり、皮膚血流量、血漿量が増えることはそもそもの持久パフォーマンス向上に貢献するからです。これに伴い、持久力の指標の一つである最大酸素摂取量も増加することが知られています。

 

 

暑熱環境でのトレーニングを上手く利用して、夏場から秋シーズンにかけてのハイパフォーマンスを目指しましょう。

 

 

 

参考文献

・競技者のための暑熱対策ガイドブック.国立スポーツ科学センター.(https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu_2-23pp.pdf



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