スポーツ科学におけるエビデンス(根拠)とは?

スポーツ科学におけるエビデンス(根拠)とは?




スポーツ科学におけるエビデンス(根拠)とは?

 

 

エビデンスとは?

 

ありとあらゆる情報を、簡単に手に入れられるようになったこの時代。スポーツのトレーニング現場においても、自身の経験のみでなく、いかに情報を仕入れて、効率的なトレーニングができるかが、勝利へ近づくために必要だと言われるようになってきました。

 

 

その情報というものをトレーニング現場に応用しようとする上で欠かせないのが、「エビデンス(根拠)」と呼ばれるものです。

 

 

科学の世界では、エビデンスのことは「科学的根拠」と解釈されることが多いことでしょう。

 

 

では、その科学的根拠とは、一体どういうものを指すのでしょうか?以下の話を参考に考えてみましょう。

 

ー例①ー
Aさん「週3回くらいでウエイトトレーニングをしながら、食生活を整えたら、なんだか体力がついて、お腹周りもスッキリしたよ!Bさんもやってみなよ!」

 

ー例②ー
トレーニング経験のない一般男性20人を対象に、週3回最大挙上重量の70%で10回×3セットのウエイトトレーニングを実施させた。実施種目は3種目(スクワット、デッドリフト、ベンチプレス)でで、トレーニング期間は6週間だった。並行して、トレーニング期間は普段よりも20%程度摂取エネルギーを制限させた。その結果、全体で体脂肪率が約5%低下し、筋肉量が5%増加した。したがって、トレーニング経験のない一般男性において、摂取エネルギーの制限とウエイトトレーニングの実施は、体脂肪率を減らし、筋肉量を増加させる効果があると考えられた。

 

 

例①はどのような設定でトレーニングをしたのか、どのように食事を改善させたのかが分かりません。効果についてもあやふやです。これはいわゆる、「個人の体験談」とみなせます。

 

 

一方、例②はどんな対象にどのような設定でトレーニングや食事による介入を行い、何にどのような変化がみられたのかが、詳細に記述されています。科学的根拠に近いイメージはこちらです。

 

 

このように科学的根拠とは、実験、調査をどのような対象に、どのように行い、どのような結果が得られたのかを忠実に表した情報であるといえます。

 

 

さらに、その調査や実験の手順は、もう一度同じ手順を踏んでも、ほぼ確実に同じような結果が得られるであろうという「再現性」が担保されていなくてはいけないものです。

 

 

「たまたまそうなった可能性」を否定できない研究結果は、科学的根拠とは呼ばれません。

 

 

したがって、科学的根拠に基づいた情報とは、「偶然そうなった」という可能性が非常に低いと判断でき得る、客観性の高い情報だと言えます。個人の体験談とは区別して考えなくてはいけません。

 

 

 

スポーツ科学は使えない?

 

「スポーツ科学は使えない」

 

 

スポーツ、トレーニングの現場で度々囁かれます。「スポーツの指導には個人に合ったものが必要だから、論文のデータは役に立たない。研究者はスポーツの現場のことを分かっていない。」というニュアンスで、話題に挙がります。

 

 

そこでは、よく科学的な知見と実践による経験を対比させて、「理論派vs経験派」のように物が語られることがあります。

 

 

しかし、「科学的な知見」と「選手やコーチの実践知」は相反するものではありません。科学の反対は経験ではないわけです。

 

 

そもそも科学的な知見(エビデンス)というのは、「その通りにやれば選手のパフォーマンスが必ず上がるもの」ではありません。特に科学に触れたことがあまりない人にとっては、「科学的なデータは目の前の全てを解決してくれるもの」という大きな期待に似た認識を持たれてしまっているのかもしれません。料理に例えると、科学的なデータというものは、目の前の選手のパフォーマンスを向上させる「レシピ」にはなり得ません。むしろ、料理を作る材料に近いものだと言えるでしょう。

 

 

 

 

したがって、スポーツトレーニングにおける科学的根拠とは、現場での実践知と同様に、あくまで「手掛かりにするもの」であって、その通りにやればパフォーマンスを上げられるレシピにはなり得ないわけです。

 

 

 

科学的な根拠に基づいたトレーニングのポイント

 

一般に、スポーツのトレーニング指導の現場において考慮すべきポイントは、次の3つになります。

 

 

・科学的根拠
・選手、コーチとしての実践知
・個人を取り巻く環境や性格、価値観

 

 

「科学は役に立たないから必要ない」と切り捨てずに、自身の経験に基づいた知識と組み合わせることが大切です。科学で分かることには限りがありますが、自身の経験のみで判断できることも、非常に限られていることを忘れないようにしましょう。

 

 

自分の経験から効果があると思っていたことが、科学的には実は全く違っていた、むしろ害があることだったということもあり得るわけです。

 

 

極端な話、水泳をしていたら50m走のタイムが上がった経験があった。だから水泳は大事な練習だ!…と思って他の陸上部員にも水泳を勧めていたが、50m走のタイムが伸びたのは、ただ自分が成長期で背が伸びたからだった…。などのことがあるわけです。自分の経験に基づいたトレーニングに、因果関係はきちんとあるのか、考えたことはあるでしょうか?

 

 

とは言え、自身の経験知はトレーニング現場において重要視すべきものであることに変わりはありません。経験豊富な選手やコーチの目、運動感覚(コツ)、カンというのはトレーニングの実践において非常に強力です。

 

 

あくまで、選手、コーチとしての経験知という引き出しだけに頼らず、科学的根拠という引き出しを多く持っていれば、トレーニング現場で生じるより多くの問題に対処できるんじゃないですか?ということです。

 

 

加えて、選手を取り巻く環境や個人の性格、価値観などの情報も、トレーニングを実践する上で考慮すべきものだと言えます。

 

 

どんなに有効であろうトレーニング手段、方法があったとしても、それを実践、継続できる環境がなければダメですし、選手のモチベーションが保てず、途中でフェードアウトしてしまうような状況になってしまったとしたら、それは本末転倒です。

 

 

100%効果のあると言えるトレーニングが続けられないよりも、80%くらいは効果があるであろうトレーニングを続けられた方が成果は挙がるはずです。

 

 

科学的根拠に基づいたトレーニングとは、選手やコーチの実践知と対極の関係にあるものではなく、個に応じた最善なトレーニングをサポートするための、一つの考え方であることを覚えておきましょう。



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