アスリートは自身のスポーツパフォーマンスを高めるために、あらゆる技術トレーニングに取り組みます。
このトレーニングにおける技術には大きく2種類あると考えられます。それが、「トレーニングを効率化する技術」と「パフォーマンスに直結する技術」です。
トレーニングを効率化する技術
短距離走を専門にしているAさんは、ウエイトトレーニングで下肢の筋力を高めるために、スクワットをやることにしました。
しかし、Aさんはスクワットをやったことがなく、スクワットの動作がとても下手くそです。
とはいえ、下肢筋力を高めるためにスクワットは有効なエクササイズなので、Aさんは効率的なスクワット動作を習得するための練習をすることになりました。
つまり、Aさんは「下肢筋力を高める目的でのスクワットを、効率良く行うための技術練習」をやることになったわけです。
このように、あるトレーニングを効率的に行うためにも、特定の技術が必要になることがあります。スクワットで筋力を高めたいなら、まずスクワットを上手くできなければいけません。
これが「トレーニングを効率化する技術」です。
しかし、スクワットを上手くやれるようになったとしても、下肢筋力が大きく向上していなければ、短距離走のパフォーマンスに繋がるかどうかは微妙です。なぜなら、Aさんが練習してきたのは、スクワットを上手くやるための技術だからです。足の速さに直結する技術ではありません。練習のための練習なわけです。
他にも、連続ハードルジャンプで下肢のバネを鍛えようとする時、そもそもハードルジャンプが上手くないと、上手くバネを鍛えられないばかりか、思わぬ怪我につながることさえあるでしょう。
クリーンやスナッチをやって爆発的なパワーを高めたいなら、まずクリーンやスナッチの技術を習得する必要があるわけです。
この「トレーニングを効率化する技術」は、ある体力を向上させるための技術であるとも言えますね。
パフォーマンスに直結する技術
一方で、パフォーマンスに直結する技術とは、スポーツで行う動作そのものの技術のことです。
例えば、ハードル選手ができるだけ減速せずにハードルを越える技術だとか、バレーボール選手が強いスパイクを打つための技術だとかです。これらのような技術が高まれば、それはそのままパフォーマンスの向上に繋がります。
先に述べた、スクワットやクリーン、スナッチの技術の例では、スクワットやクリーン、スナッチは上手くなるけれど、競技動作が上手くなるわけではありません。
それがトレーニング効果を高めるための技術なのか、パフォーマンスに直結するための技術なのかをキチンと把握して、トレーニングをするようにしましょう。
どちらの技術も、体力の上に成り立っている
「トレーニングを効率化する技術」にしろ、「パフォーマンスに直結する技術」にしろ、その技術を行うために必要な体力が無ければ、それを行うことはできません。
ウエイトトレーニングで体力づくりをしようとしても、バーベルを保持できるほどの筋力もなければ、ウエイトの技術を習得する以前の問題になります。
パフォーマンスに直結する技術も同様に、それに必要な体力が必要です。今自分が行っているトレーニングが、どの位置づけなのかもきちんと把握して、最終的なパフォーマンスアップにつなげましょう。