スポーツの試合やトレーニング時に、ふくらはぎにサポーターをつけている選手がしばしばいます。
これは、ふくらはぎを圧迫することによって何らかの効果が得られるからだと考えられます。ここでは、そのふくらはぎサポーターの効果に科学的に根拠はどの程度存在するのかについて紹介していきます。
ふくらはぎサポーターの効果
da Silvaほか(2018)の研究では、ふくらはぎサポーターの効果について検証された多くの研究を集め、その結果をまとめています。
ランニングパフォーマンス
50mー5000m程度のランニングにおいて、ふくらはぎサポーターをつけることで特にパフォーマンスの向上は見られないようです。
垂直跳び
ふくらはぎサポーターが、垂直跳びのパフォーマンスを改善させるということは無いようです。
最大酸素摂取量
最大酸素摂取量とは、単位時間あたりに身体がどれだけ酸素を取り込むことができたか、つまりどれだけ酸素を利用する能力があるかを示す持久能力の指標です。ふくらはぎサポーターが、この最大酸素摂取量を改善させるということも特に無いようです。
最大下運動時の酸素摂取量
全力よりも低い強度の運動での酸素摂取量のことです。これに関しても、数値が改善されたという結果は得られていません。
血中乳酸濃度の上昇
ふくらはぎサポーターをつけることで、乳酸の生成(糖の利用)を抑えられるということはありませんでした。
自覚的運動強度
主観的なキツさについても、ふくらはぎサポーターの有効性を見出すことはできませんでした。
このように、これら全ての項目でふくらはぎサポーターの効果はみられていません。また、その他の効果についてもさらなる検証が必要でしょう。
つけるとパフォーマンスが改善したような気がする、疲労が溜まりにくい気がする…といった理由でつける分には何ら影響はありません。
デメリットは特にありませんし、むしろ「パフォーマンスが上がる気がする」なら積極的につけるべきとも言えます。
参考文献
・da Silva, C. A., Helal, L., da Silva, R. P., Belli, K. C., Umpierre, D., & Stein, R. (2018). Association of lower limb compression garments during high-intensity exercise with performance and physiological responses: a systematic review and meta-analysis. Sports Medicine, 1-15.