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バウンディングで足は速くなるか?(上手くできない人の練習方法)

バウンディングとは

バウンディングの習得方法について、こちらの動画で端的に解説しています。よろしければチャンネル登録お願いします!

 

バウンディングとは、前方に一歩一歩、片脚ずつ大きく弾みながら進んでいく、ジャンプトレーニングの一つです。

 

陸上競技でよく用いられるトレーニングですが、初心者にはやや難易度の高いトレーニングです。一歩一歩大きなパワーを発揮しなければならないのに加えて、動作のタイミングを合わせるのが難しいからです。

 

 

しかし、走りに近い動作、力発揮の様式で、脚のバネを鍛えることができるため、足を速くするトレーニングとしてはとても有用なものだと言えるでしょう。

 

そこでここでは、

・バウンディングと足の速さの関係
・バウンディングを習得するための方法

について、考えていきたいと思います。

 

バウンディングと足の速さの関係

バウンディングの跳躍距離と足の速さ

バウンディングで大きく弾める人は、足が速い傾向があると言われています。実際に、疾走能力が高い人ほど、バウンディングの跳躍距離(五段跳含む)が大きかったとする研究は多くあります(青木ほか,2007;岩竹ほか,2008;磯部,2010;山口ほか,2016,宮代,2012;Singh,2010)。

 

 

しかし、よりレベルの高い選手内では、その関係は弱くなっていくようです。

 

このように、バウンディングで一歩一歩遠くに弾めることは、一定のレベルまでの足の速さに強く関係し、疾走能力の基盤を固めるために重要そうだということが読み取れます。

 

 

 

スピードバウンディングはより足の速さと関係する?

また、バウンディングの中でも、よりスピードの高い「スピードバウンディング」の能力は、足の速さと強く関係するようです。

 

桐生選手の素早いバウンディング

 

実際に、五段跳びの距離だけよりも、跳躍距離を要したタイムで割った値の方が、疾走能力との関係がより強かったと言われています(磯部,2010)。また、100mバウンディングの歩数にタイムをかけあわせた数値は、全力疾走での最大スピードと強い関係があったとされています(山口ほか,2016)。

 

 

このように、大きく前に弾むだけでなく「大きく+速く」前に弾めるバウンディング能力は、より疾走能力に関係し、足を速くするために重要だということが伺えます。

 

 

スピードバウンディングが上手い人の特徴

高いスピードで弾めるようになるためには、脚を硬いバネのように使うことが重要です。バウンディングの時に、脚全体をより硬くできている人では、特に「足首で発揮できるパワー」に違いがあるとされ、バウンディング動作にも違いがみられています(苅山と図子,2016)。

 

 

この足首で発揮できるパワー(足首のバネ)は、短距離走のパフォーマンスとも関連する能力です(渡邉ほか,2003)。足を速くするためには、より重要視すべき能力だということがさらに強調されます。

 

 

キーポイント

・バウンディングで大きく弾める能力は足の速さに関係する。
・高いスピードでバウンディングできる能力は、足の速さとさらに強く関係する。
・高いスピードでのバウンディング能力には、足首のバネの強さが関係する。

 

バウンディングの習得・練習方法

まずは体重×1.5―2.0倍のスクワットができるようになること

「バウンディングが全然できない・・・」という人は、まず基礎筋力が足りなさすぎることが多いです。まずは、体重の1.5―2.0倍の重さでスクワットができることを目標にして、ベーシックなウエイトトレーニングに励んでください。

 

 

スクワット

 

デッドリフト

 

 

まずは上に弾めるバネを

基礎筋力が付いてきたら(もしくは基礎筋力トレーニングと並行しながら)、まずは上に弾むジャンプトレーニングを行いましょう。

 

筋力が低いうちは、反動動作を付けた垂直跳びや、接地を長くとったハードルジャンプから実施します。

 

 

ハードルジャンプレベル①

 

 

余裕が出てきたら、次は短い接地で高く弾めるように、連続でのジャンプをしてみましょう。

 

 

リバウンドジャンプ

 

ハードルジャンプ

 

足首のバネを意識したジャンプも取り入れます

 

 

 

徐々に前に弾めるように

次に、徐々に前に弾むことを意識していきます。ミニハードルを並べて、最初は「低い高さ+狭い間隔」でいいので、一歩一歩、弾む感じをつかんでいきます。

 

・まずは狭い間隔から
・接地はフラットに
・腕振りのタイミングを合わせる
接地の瞬間に両腕を素早く振り込む

 

まずは短い間隔で確実に弾む。その後は距離を伸ばしてこんな風に↓

 

これをレベルに合わせて、徐々にハードルの間隔を広げていきます。最終的に、まずは大きく前に弾めるようになることを目指しましょう。

 

関連動画

 

 

さらに高速化させる

最終的には、高いスピードでのバウンディングができるようになることが望ましいと言えます。そのためには、先述の通り、足首の強力なバネを使って、身体の近くに接地しながら、短く遠くへ弾めることが重要です。

 

・まずは狭い間隔から
・接地はフラット or やや足裏の前よりに
・腕振りのタイミングを合わせる
接地の瞬間に両腕が最下点にあるくらいのイメージで素早く振り込む

 

桐生選手のスピードバウンディング

 

フラット接地よりも、ややフォアフット(足裏の前部分)で接地するように意識して、短く速く弾む意識を持ってみましょう。狭いミニハードルのジャンプから、フォアフットで弾めるようにやり直すというのも一つの手でしょう。

バウンディングだけでは速くなれない

ピッチを落とさないように注意しよう

バウンディングだけやっていれば、足が速くなるということはありません。必ず、実際に最大スピードを出すトレーニングを並行して行うことが重要です。バウンディングは足を速くする手段であって、目的ではないからです。

 

 

怪我に気を付ける

また、バウンディングは一歩一歩の衝撃が非常に大きいトレーニングです。連日ジャンプトレーニングばかりを実施していると、回復が間に合わず、トレーニング効果を上手く得られないばかりか、怪我につながってしまう恐れもあります。

 

回復度合いとの兼ね合いを考えて、実施頻度や量を設定しましょう。

 

参考文献

・山口恭平, 小野高志, & 加藤洋介. (2016). スプリント・バウンディングはスプリント能力を反映するか?: Sprint Bound Index と最大スピードの関係から. Journal of training science for exercise and sport= トレーニング科学, 27(1), 25-34.
・苅山靖, & 図子浩二. (2015). バウンディングにおける Stiffness 特性へ影響する踏切脚の力およびパワー発揮: リバウンドジャンプとの比較から. 体育学研究, 60(1), 137-150.
・礒部慶. 陸上競技短距離種目における疾走能力の評価方法の開発―バウンディング運動を用いて―.
・Singh, W. (2010). Temporal evaluation of sprint bounding in sprinters and jumpers. British Journal of Sports Medicine, 44(Suppl 1), i24-i24.
・岩竹淳, 山本正嘉, 西薗秀嗣, 川原繁樹, 北田耕司, & 図子浩二. (2008). 思春期後期の生徒における加速および全力疾走能力と各種ジャンプ力および脚筋力との関係. 体育学研究
・青木和浩, 河村剛光, & 越川一紀. (2007). 大学跳躍選手におけるバウンディング能力と体力の関係およびその性差. 陸上競技研究, 2007(4), 10-15.
・宮代賢治(2012)スプリント&ハードル.宮下憲編著,陸上競技者,pp.71-73.

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