カフェインの摂取はあらゆるスポーツのパフォーマンスを向上させることが知られています。
Glade(2010)は、カフェインの摂取による効果として以下の項目を挙げています。
① エネルギー利用率を高める
② 普段のエネルギー消費を高める(6%ほど?)
③ 疲労を減らす
④ 身体活動に対する努力感を減らす
⑤ 身体能力を高める
⑥ 運動遂行能力を高める
⑦ 認知能力を高める
⑧ 覚醒状態を引き起こし、活気を向上させる
⑨ 精神的な疲労を軽減
⑩ 反応速度を高める
⑪ 反応の正確さを高める
⑫ 集中力・注意力を高める
⑬ 短期記憶能力を高める
⑭ 推測を要する問題解決能力を高める
⑮ 正しい判断を下す能力を高める
⑯ 認知機能の容量や神経筋の協調性を高める
|
ここでは、主に筋力やパワー系の能力が求められる運動において、カフェインを摂取する事で具体的にどのような効果が得られるのか、について紹介します。
カフェイン摂取の効果
Grgic ほか(2018)の研究では、レジスタンス運動におけるカフェイン摂取の効果について、複数の研究を基に考察しています。
そこで得られた見解を以下にまとめます。
・カフェインの摂取は筋肉のパワー、筋力、そして持久力を改善させる。
・効果的な摂取量は体重1kgあたり3ー9mg
・体重1kgあたり9mg以上摂取すると、睡眠障害などの害が出る可能性がある。
・カフェなどで売られているコーヒーのカフェインの含有量はバラツキが非常に大きい。そのため、インスタントコーヒーやカフェインサプリメントを摂取するのが確実。
|
このように、体重60kgであれば180mgー540mgのカフェイン摂取で、様々なレジスタンス運動のパフォーマンスが改善されるようです。
これは、トレーニングだけでなく、筋力やパワー、その持久力が求められるようなスポーツにおいても有利に働くでしょう。
カフェイン摂取の注意点
カフェインは、午後に摂りすぎる(体重1㎏あたり9mg以上)とその日の入眠時間や睡眠時間が短くなってしまい、疲れを取ることができなくなってしまう恐れがあります。特にカフェインに敏感な体質の人は、注意しましょう。
また、カフェインの効果には個人差が大きいのも事実です。カフェインを日常的に摂取していない人では、上の副作用が強く出てしまうことも考えられます。
さらにもう一つの注意点として、カフェインの摂取が体内のナトリウムを減らし、血圧を上げやすくするということです(Passmoreほか,1987)。そのため、トレーニング中の水分補給として、カフェイン飲料を利用することはあまり推奨されません。血圧の高い人であれば特にです。
そのため、できればトレーニングの1時間―30分前くらいにカプセル状のカフェインサプリメントを摂取し、トレーニング中はスポーツドリンクなどで水分を補給していくのが良いかと思われます。
参考文献
・Glade, M. J. (2010). Caffeine—not just a stimulant. Nutrition, 26(10), 932-938.
・Grgic, J., Mikulic, P., Schoenfeld, B. J., Bishop, D. J., & Pedisic, Z. (2018). The influence of caffeine supplementation on resistance exercise: A review. Sports Medicine, 1-14.
・Passmore AP, Kondowe GB, Johnston GD. Renal and cardiovascular effects of caffeine: A dose-response study. Clin Sci (Lond.). 1987;72:749–756.