
カフェイン摂取による運動パフォーマンスへの効果
運動前のカフェイン摂取は、運動パフォーマンスを高めることが知られています。
カフェイン摂取で得られる効果(Glade,2010)
① エネルギー利用率を高める ② 普段のエネルギー消費を高める(6%ほど?) ③ 疲労を減らす ④ 身体活動に対する努力感を減らす ⑤ 身体能力を高める ⑥ 運動遂行能力を高める ⑦ 認知能力を高める ⑧ 覚醒状態を引き起こし、活気を向上させる ⑨ 精神的な疲労を軽減 ⑩ 反応速度を高める ⑪ 反応の正確さを高める ⑫ 集中力・注意力を高める ⑬ 短期記憶能力を高める ⑭ 推測を要する問題解決能力を高める ⑮ 正しい判断を下す能力を高める ⑯ 認知機能の容量や神経筋の協調性を高める |
このような効果が得られることから、運動中の筋パワーや筋力、そして持久力を向上させ、スポーツのパフォーマンス向上にも役立つことが分かっています。

日常的な摂取で耐性が付き、効果が薄れていく?
以上のように、運動前のカフェイン摂取は、あらゆる運動パフォーマンスを高めます。しかし、日常的にカフェインを摂取している人では、その効果は得られにくくなるようです。
20日間体重1㎏あたり3mgのカフェインを摂取させ続け、各運動パフォーマンスの変化を調査した研究(Laraほか,2019)があります。この研究では、カフェインを摂取しなかった群とのパフォーマンスの差を基に、カフェインによるパフォーマンス向上度合いにどのような変化が出るのかもみています。
その結果、おおよそ15-18日までは、連続してカフェインを摂取していても効果が得られました。しかし、その効果は初期と比較して徐々に小さくなっていきました。

このことから、2~3週間くらい(またはそれ以上)連続してカフェインを摂取したとしても、ある程度の効果が得られる状態は続くであろうこと、そして、カフェインの効果を最大限に生かしたいなら、重要な試合の前にはカフェインの摂取を控えることが有効かもしれないことが推測できます。
ちなみにこの研究の被験者は、実験の1か月前からカフェインを摂取しないように指示されていました。試合のどれくらい前からカフェインの摂取を控えると良いかはハッキリ分かりません。
また、この実験で摂取されたカフェインは、体重1㎏あたり3mgという量でした。なので日常的にカフェインを摂取していたとしても、試合前に摂取量を増やせば、パフォーマンスUPの効果は望めるかもしれません。
参考文献
・Glade, M. J. (2010). Caffeine—not just a stimulant. Nutrition, 26(10), 932-938.
・Grgic, J., Mikulic, P., Schoenfeld, B. J., Bishop, D. J., & Pedisic, Z. (2018). The influence of caffeine supplementation on resistance exercise: A review. Sports Medicine, 1-14.
・Passmore AP, Kondowe GB, Johnston GD. Renal and cardiovascular effects of caffeine: A dose-response study. Clin Sci (Lond.). 1987;72:749–756.
・Lara B, Ruiz-Moreno C, Salinero JJ, Del Coso J (2019) Time course of tolerance to the performance benefits of caffeine.PLoS ONE 14(1): e0210275. https://doi.org/10.1371/journal. pone.0210275