短距離走のパフォーマンスと内転筋群の関係




短距離走のパフォーマンスと内転筋群の関係

脚が速い人ほど内転筋が発達している

 

短距離走のパフォーマンスを高める上で、内転筋群の働きを見逃すことはできません。

 

この内転筋の横断面積とスプリントパフォーマンスを調べた研究がいくつかあります。

 

 

狩野ほか(1997)は男子スプリンターにおける100m走のタイムと内転筋群の横断面積は有意な負の相関関係があることを示しています。
※狩野ほか(1997)スプリンターにおける内転筋群の形態的特性とスプリント能力との関係.体育学研究,41:352-359.

 

 

 

また、渡邉ほか(1999)では、女子においても最大疾走速度と内転筋群の横断面積に有意な正の相関関係があることが示されています。
※渡邉ほか(1999)スプリンターの筋横断面積と疾走速度との関係における性差.陸上競技研究,39(4):12-19.

 

 

 

さらに前村(2018)では、女子400m選手において、400m走のパフォーマンスと内転筋群の横断面積に有意な負の相関関係が認められています。
※前村ほか(2018)女子スプリンターにおける股関節内転筋群の形態的特性とロングスプリントパフォーマンスとの関係.陸上競技学会誌,16:19-26.

 

 

 

これらのことから、足が速い人ほど内転筋群がより発達していると言えます。

 

ではなぜ、スプリントパフォーマンスにこの内転筋群の発達度合いが関係しているのでしょうか?

 

 

 

 

内転筋群の機能

 

内転筋は、その名の通り股関節を内転させる役割を持ちます。

 

 

 

 

 

しかし、それだけではなく、その肢位によって股関節の伸展や屈曲にも関わる重要な筋肉なのです。

 

つまり、走っている時に前へ振り出される脚にブレーキをかけて後方スイングに切り替えたり、後ろに流れる脚にブレーキをかけて前方スイングに切り替えたりする動作に関係します。

 

 

 

 

 

 

 

 

したがって、内転筋が発達しているほど、下肢の動作を早く切り返すことができたり、走っている時に高いキック力を生み出したり、腿を勢いよく前へ引き出す力が大きくなりやすいと考えられます。

 

 

このことが、スプリントパフォーマンスと内転筋群の横断面積に関連性が見られた原因だと言えるでしょう。

 

 

 

内転筋群のトレーニング方法

 

前述の通り,内転筋群はスプリント中に活発に働くため,通常のスプリントトレーニングにおいてもトレーニング刺激が加わると考えられます。

 

しかし、内転筋群が特に弱い場合などは、別にトレーニング刺激を与えながら、その筋量・筋力を高める必要が出てくるでしょう。

 

以下はそのトレーニング例です。

 

 

 

マシンアダクション

 股関節内転を行う専用のマシンを用いた方法です。負荷設定が簡単で、筋力が弱い人から強い人まで簡単にトレーニングをすることができます。

 

バンド・チューブアダクション

 トレーニング用のバンドやチューブ等を利用して鍛える方法です。バンドやチューブは安価で手に入りやすいため、チューブを固定する場所さえあればトレーニングすることができます。

 

ライイングアダクション

 足首に重りなどを巻くことで、負荷調整も可能です。股関節の内転方向への可動域改善にも効果が期待できます。

 

ライイングチェアアダクション

 椅子や段差などを使って鍛える方法です。自体重で行うため筋力が弱い人にもおすすめです。

 

 

 


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