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スプリント力(足の速さ)と膝まわり(大腿四頭筋・ハムストリング)の筋力、筋肉量の関係

スプリント力(足の速さ)と膝まわり(大腿四頭筋・ハムストリング)の筋力、筋肉量の関係

スプリンターに必要な筋力とトレーニング方法+考え方について、動画で紹介しています。

 

 

膝を曲げたり、伸ばしたりする筋力は、速く走る上で非常に大切である・・・ということは、大体予想ができると思います。ここでは具体的に、膝の曲げ伸ばしに関わるどのような能力が、または、どの筋肉が大切なのかについて紹介していきます。

 

 

関連記事

 

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膝関節屈曲に関わる筋群

 

オリンピック出場スプリンターとジュニアトップ選手を比較すると、オリンピック選手の方が膝関節の伸展筋力(膝を伸ばす筋力)に対して、相対的に屈曲筋力(膝を曲げる筋力)が高い傾向があり、収縮スピードが速くなるほど差がよく現れた(小林,1987)と言います。なぜなのでしょうか?

 

 

これには走っているときの、腿や膝下の動きに秘密があります。ヒトは全力疾走をしているとき、脚を前に引き出す局面で、膝下が過度に前方に振り出されないように、膝を曲げる筋力を発揮して、振り出される膝下にブレーキをかけます

 

 

これと同時に、前に振り出される腿にもブレーキをかけ、脚全体が前に飛んでいかないようにして、次の接地の準備をします。

 

 

このときに、膝下や腿が前に飛んでいかないようにブレーキをかける筋肉が「ハムストリング」という腿の裏の筋肉です。ハムストリングは、膝を曲げるだけでなく、股関節を伸ばす役割も担っている筋肉です。このように、2つの関節に働く筋肉を「二関節筋」と言います。

 

 

二関節筋であるハムストリングは、非常に高いスピードで前に振り出される脚に急ブレーキをかけて、動作を切り返す役割を担っていますが、この時の急ブレーキには非常に大きな力を必要とします。これは、走る速度が高くなればなるほど大きくなります。

 

 

そのため、非常に高いスピードで走るトップスプリンターは、より高いスピードで膝を曲げる筋力に優れていたということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、膝を伸ばす筋力に対して、膝を曲げる筋力が相対的に低い選手では、「ハムストリングの肉離れ」が多い傾向があるようです(Oparほか,2012)。

 

 

このように、高い疾走速度を得るためにも、怪我を防ぐためにもハムストリングスなどの股関節伸展、膝関節屈曲に関わる筋群は積極的に鍛えて、筋力と柔軟性を高めておく必要があると言えます。

 

 

 

 

膝関節伸展に関わる筋群

 

 

膝関節伸展筋力(膝を伸ばす筋力)も短距離の記録と有意な相関関係がある(渡邉ほか,2000)。

 

・男子において、接地中の膝関節伸展ピークトルクは疾走速度と有意な相関関係にある(渡邉ほか,2003)。

 

 

 

スプリント中、膝関節伸展筋力が大きく影響するのは接地期前半です。

 

 

 

 

 

速く走ろうとすると、結果的に接地時間は短くなります。短い接地時間で走るためには、自分の体重を短い時間で、浮かせられるくらい地面に力を発揮する必要が出てきます。ここで鉛直方向に大きな力を加えて、支持期の膝のつぶれを少なくする、落ちてくる自分の体重を一瞬で支えて浮かせることが重要であると「①フットディセント(振り下ろし)-③ミッドサポート(乗り切り)のより良い動作とは」で述べています。

 

 

この時に、膝を伸ばす筋力を十分に発揮できなければ、体重に耐えられず、膝の曲げ伸ばしの多い動作、つまり接地時間の長い走りになってしまいます。また、トップスプリンターでは、接地中に膝の角度があまり変わらないことも明らかになっています(伊藤ほか,1998)。これは、非常に大きな力を接地期の前半で地面に発揮できており、膝を伸ばそうとしなくても自分の体を浮かせられていることが理由だと考えられます。
 

 

また、接地時間は非常に短いため、ここで大きな筋力を発揮するためには筋力の立ち上がり率や、弾性筋力が大きく関係してきます。

 

 

 

関連記事

 

・力の立ち上がり率

 

・切り返し運動(SSC運動)①

 

・切り返し運動(SSC運動)②

 

 

 

 

そのため、たとえ膝を伸ばす大腿四頭筋などの筋肉量が多くても、一瞬で力を発揮する能力には乏しい場合があり得ます。力発揮のために筋肉量は重要であるといえますが、それだけではなく、いかに一瞬で筋力を引き出すことができるかが重要です。

 

 

参考文献

・小林寛道. (1987). ジュニア陸上競技選手の体力的特性. Jpn. J. Sports Sci, 6, 725-733.

 

・久野譜也(1999).トップアスリートの特性.勝田茂編,運動生理学20講第2版.朝倉書店:pp.134-140.

 

・Opar D.A. et al. (2012). Hamstring strain injuries. Sports Medicine, 42(3), 209-226.

 

・渡邉信晃, 榎本好孝, 大山, 圭悟, 狩野豊, 安井年文, ... & 勝田茂. (2000). スプリンターの股関節筋力とスプリント走パフォーマンスとの関係. 体育学研究, 45(4), 520-529.

 

・渡邉信晃, 榎本靖士, 大山卞圭悟, 宮下憲, 尾懸貢, & 勝田茂. (2003). スプリント走時の疾走動作および関節トルクと等速性最大筋力との関係. 体育学研究, 48(4), 405-419.

 

・伊藤章, 市川博啓, 斉藤昌久, 佐川和則, 伊藤道郎, & 小林寛道. (1998). 100m 中間疾走局面における疾走動作と速度との関係. 体育学研究, 43(5-6), 260-273.

 

 

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