より高い速度を獲得するということは、接地中の脚全体の後方スイング速度(②から④を高くする)ということです。
考えてみれば当たり前で、脚で地面を後方(推進力を生むための方向)に押し出す速度が自分の重心が移動する速度となるからです。実際に脚全体の後方スイング速度と疾走速度は強い相関関係にあります(伊藤ほか,1998)。
厳密に言うと、接地点を基準に身体重心がどれだけ前に速く進んだかが、脚の速さに強く関連するわけです。腿が速く動いても、膝下が速く動いても、接地点(足先部)に対して、身体重心が素早く前に進んでいなければ、足が速くなったとは言えません。

しかし、接地中の脚全体のスイング速度が大事だからと言って、「接地中に後ろに蹴ることを意識することが大事」ということにはなりません。これは、あくまで「結果」であって、動作の目的地にすぎないからです。
この目的地へたどり着くために、数多くのアプローチが存在します。それが筋力UPであったり、意識の改善であったり、身体の機能改善であったりするのです。
速く走るという本質を理解したうえで、本当にやるべきことが考えられるようになれば、選手としても、指導者としても、1段階レベルアップできることでしょう。
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