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足の速さとピッチ・ストライド(回転数と歩幅)の関係は?

ピッチとストライドはどちらが大事?

「足が速い人は、足の回転数(ピッチ)が高い?」

 

「それとも、足が速い人は歩幅(ストライド)が大きい?」

 

陸上選手のみならず「かけっこが速くなりたい、球技系のスポーツでスピードを高めたい!」という人であれば、多くの人が気になっている疑問の一つなのではないでしょうか?ここでは、この「足の速さとピッチ・ストライドの関係」について迫っていきたいと思います。


足の速さとストライド・ピッチの関係

以下の図は、小学生の足の速さとピッチ・ストライドの関係を調べた結果です。

 

有川ほか(2004)より引用

 

この図から、足が速い人ほどストライドが大きいことが分かります。対してピッチとは個人でばらつきが大きく、ピッチが高いほど足が速いという傾向は無いということが分かります。この図を見ただけだと「ピッチは関係ないから、ストライドを伸ばす練習が大事なんだ!」と、多くの人は考えてしまうでしょう。
しかし、これにはある落とし穴があるのです。それが、以下の図を見ると理解できます。

 

有川ほか(2004)より引用

 

この図からわかるように、ストライドは身長との関係がかなり強いのです。身長が高いほど足は長いはずですから、ストライドが大きくなるのは当たり前です。そして、小学生で身長が高い人ほど体が成長しているため、足が速い人も多かったということになります。

足の速さと、身長に対するピッチ・ストライドの関係

では、ここで別の研究結果(伊藤ほか,1998)を見てみましょう。ここでは足の速さと、身長に対するピッチやストライドとの関係を調べています。

 

伊藤ほか(1998)より引用

 

この図からわかるように、足が速い人は身長に対して「ピッチが高く、ストライドも大きい」ことが分かります。なにも、ストライドだけが大きい...なんてことは無く、ピッチもストライドも大きいのです。

ピッチとストライドは天秤のようなもの

足の速さは、「ピッチ×ストライド」で決まります。なので、速く走りたければ「誰よりも大きなストライドで、誰よりも高いピッチ」を出すことが必要です。これができれば最強になれます。
しかし、物事はそう上手くは行きません。意識的に歩幅を大きくして走ろうとすれば、ピッチは当然遅くなってしまいます。また、その場で高速で足ふみを行えば非常に高いピッチを出すことができますが、当然ストライドは狭くなります。

 

このように、意識的にピッチを上げようとすればストライドは小さくなります。逆にストライドを広げようとすれば、ピッチは遅くなってしまいます。ピッチとストライドは天秤にかけられたような状態なのです。なので、速く走るためには「ピッチを維持しながらストライドを伸ばす」か、「ストライドを維持しながらピッチを高めるか」または「ピッチもストライドも高める」ことができなければいけません。

 

それを達成するためには、何が必要なのでしょうか?

 

ストライドを広げるための視点

身長に対するピッチが同じくらいなのに、ストライド大きい人の特徴として、蹴りだし時に「足首が返らない」「腿を引き出すタイミングが早い」ことが挙げられます(豊島と桜井,2018)。

 

接地中に足首がグニャっと曲がり切ってしまうと、その後の蹴りだしにおいて足首が大きく伸び切るような動作になってしまいます。これは、接地した瞬間に足首で大きなパワーを発揮できていないことが原因です。このようになってしまうと、接地中に身体を速く前に進めることができず、一瞬で身体を宙に浮かせることができないので、ストライドが伸びません。

 

また、蹴りだした後、腿を素早く前に引き付ける動作ができることで、一瞬で身体を宙に浮かせる力を補うことができます。いわゆる「振り子」のようなイメージです(下図参照)。

 

 

このような動作ができるようになるためには、特に足首で大きな力を一瞬で発揮できることが重要です。この能力を高めるためには、以下のような足首を瞬間的に使ったジャンプトレーニングなどが有効だと考えられます。

 

参考動画(アンクルホップ:できるだけ膝が曲がらないようにするのが好ましい)

 

また、腿を素早く前に引き出すためのトレーニングには、以下のようなものが挙げられます。

 

マシンヒップフレクション
動画のようなトータルヒップというマシンでトレーニングできます。腿の前の筋肉よりも、脚の付け根部分から動かすことがポイントです。

 

 

バンドウエイトヒップフレクション
マシンが無い場合は、台にあおむけになり、膝を挙げる運動を繰り返します。重りを付けるなどして負荷を調整しましょう。30回未満で限界になるように負荷をかける、もしくはスピードを意識して挙げれば、筋量増加にも十分な効果が見込めます。

 

 

ハードルサイドステップ

 

腰が曲がらないように、空中で膝を素早く入れ替えるイメージで行います。足首に重りを巻くなどして負荷調節をします。

 

このほかに、ミニハードルなどを使って、腿を一瞬で引き出す動作を身に付けるドリルを行うことも効果的でしょう。

 

ピッチを上げるための視点

では、身長に対するストライドが同じくらいでも、ピッチが高い人の特徴はどうなっているのでしょうか?それを示したのが以下の図になります。

 

 

このように、ピッチが高い人は蹴りだし時に膝が固定され、腿があまり後ろに流れない動作になっていることが分かります。また、身体に近い位置で接地しており、股関節で大きな力を発揮して、動作を素早く切り替えていることが分かります。

 

このような動作ができるようになるためには、股関節の筋肉(大腰筋や大腿直筋、お尻の筋肉、内転筋、ハムストリングスなど)で大きな力を発揮できるようにならないといけません。

 

大きな力を発揮するためには、筋肉量を増やし、筋力を向上させるウエイトトレーニングや、高いピッチで走るようなトレーニングが重要になります。特に、滞空時間が短くなるような砂浜での全力疾走や、坂ダッシュなどが有効でしょう。

 

 

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まとめ

以上のことから、「足が速い人はピッチもストライドもすごい!」ことが分かります。自身の課題(ピッチが遅い?ストライドが狭い?)を適切に把握して、それに応じたトレーニングを考えて、実践していくことが重要です。

 

・足が速い人はストライドが大きい傾向が強いが、ストライドは身長の影響を強く受ける。

 

・足が速い人は身長に対する「ピッチが高く、ストライドも大きい」

 

・ピッチが高い人、ストライドが大きい人の特徴を理解して、それに応じたトレーニングを実施すべき。

 

 

 

参考文献

・有川秀之, 太田涼, 中西健二, 駒崎弘匡, & 神園竜之介. (2004). 男児児童における疾走能力の分析. 埼玉大学紀要. 教育学部. 教育科学/埼玉大学教育学部 [編], 53(1), 79-88.
・伊藤章, 市川博啓, 斉藤昌久, 佐川和則, 伊藤道郎, & 小林寛道. (1998). 100m 中間疾走局面における疾走動作と速度との関係. 体育学研究, 43(5-6), 260-273.
・豊嶋陵司, & 桜井伸二. (2018). 短距離走の最大速度局面における遊脚キネティクスとピッチおよびストライドとの関係. 体育学研究, 17008.

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