これらのことから、スプリントパフォーマンスを高めるために有効なトレーニングを考えてみましょう。大臀筋やハムストリング、腸腰筋は、動作を切り返すために重要な働きをしていることが分かりました。
動作を素早く切り返すためには、まず筋肉を大きくすること、そして引き伸ばされながらも大きな筋力を発揮できるようになることが必要です。

したがって、スクワットやデッドリフト、ヒップスラストなどのベーシックな筋力トレーニングを実施しながら、筋肉を増やしたり、筋力を高めたりしていくトレーニングは非常に大切だということになります。
腸腰筋は、つま先にケトルベル負荷をぶら下げて腿上げを行ったり、トータルヒップというマシーンがあればそれを用いて負荷をかけていきます。
・ルーマニアンデッドリフト
ハムストリングや臀筋群を中心に、エキセントリック(筋肉が伸びながら力を発揮する)な負荷をかけながら鍛えることができます。
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・ヒップスラスト
臀筋群を中心に主にコンセントリック(筋肉が縮みながら力を発揮する)な負荷をかけながら鍛えることができます。垂直方向よりも水平方向へのスピード向上に効果的なようです。
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また、腓腹筋や外側広筋は、自分の身体を一瞬で支える、衝撃に耐えるような筋力が重要になることが分かりました。そのため、プライオメトリクスと呼ばれるジャンプ系のトレーニングや、高重量を用いたクォータースクワットなどのトレーニングで、その土台を作っていかなければなりません。
・ハードルジャンプ、片脚ホッピング、バウンディング
短い接地時間で身体を浮かせられる力を発揮できなければ、身体を浮かせるのに長い時間をかけなくてはならなくなり、接地時間は長くなります。当然スピードも上がりにくいです。強いバネを作ることは最大スピード向上に重要です。
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・スピードバウンディング
より接地時間を短く、高い速度でのバウンディングを心がけます。最大スピードでのスプリントの力発揮、動作に近い形です。動画は桐生選手のものです。
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スプリント中に、筋肉がどのような働き方をしていて、そのためにはどのようなトレーニングが必要になるのか、しっかりと理解した上で、トレーニングメニューを組んでみましょう!