「力と動き」を詳しく解析していくスポーツバイオメカニクスにおいて、運動方程式(F=ma)は最も重要とも言える法則です。
したがって、勘違いを生まないように理解をしておく必要があります。
よくある勘違いとして、「F=maだから、質量にあたるmを大きくすれば、力Fが増える!!じゃあ体重を増やせば大きな力が出せるんだ!」
と言ったものが挙げられます。これは間違いです。
質量mというのは、力が作用する物体のことであって、体重とは限りません。
野球の投球に例えると、質量mは、力が加えられるボールのことで、ピッチャーの体重ではありません。速い球を投げるには、投げている間にボールに大きな速度を持たせることが必要です。
言い換えると、150km/sを投げたければ、ボールから手が離れるまでに150km/sまでボールを加速させなければなりません。大きく加速させるには、大きな加速度aを持たせる必要があり、そのためにはより大きな力Fでボールを押すことが必要になります。

ここで、ボールの質量mが2倍になったとしましょう。
F=maのmの部分が2倍になるわけですから、Fも2倍になります。
このFはボールに伝わる力なので、2倍の重さのものは2倍の力で投げないと、同じくらいの加速度を持たせることは難しい…というわけです。
体重が2倍になると…力が増える…とかいうものではないことに注意しましょう。
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