運動エネルギーの転移
先述した通り、身体の中心から動作を行い、その動作を止めることで末端が加速していく、この運動連鎖を使うことが上手い投動作のコツです。
動いている物体は運動エネルギーを持ちます。これは、重たいものが速く動くほど大きくなります。
この大きな運動エネルギーを持った部位がグッと止まったとすると、その大きな運動エネルギーは消えて無くなるわけでなく、末端に移動するわけです。
したがって、中心で生み出した大きな運動エネルギーを、末端に転移させることで、物体をより加速させることができます。
予め中心部分でいかに大きなエネルギーを生み出すことができるかが重要だということが分かります。
反動動作を使う
ムチ動作を上手く行うもう一つのコツとして、「反動動作を使う」が挙げられます。
釣竿の持ち手は、硬くて伸縮性のあるカーボンが使われていることが多いです。
竿にグッと力を込めて振ると、そのカーボンの中心部分が引き伸ばされて、バネのようなエネルギーが蓄えられます。
その蓄えられたエネルギーを一気に解放することで、より大きなエネルギーを生み出すことができ、末端をより加速させることができます。
これは、ヒトの筋肉や腱を使うことでも起こすことができます。

筋肉にグッと力を入れて引き伸ばされるような動作を使うことで、筋肉やそれに付随する腱にバネのエネルギー(弾性エネルギー)が蓄えられます。そのエネルギーを一気に解放することで、よりキレのある投動作を行うことができるわけです。
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参考文献
・田内健二, 村上幸史, 藤田善也, 礒繁雄, & 早稲田大学. (2009). やり投の日本トップ選手における動作分析データの活用事例‐世界トップレベルとの相違点を提示して‐. スポーツパフォーマンス研究, 1, 151-161.