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技術と技能の違い

 

 

スポーツの練習をしたり、試合を見たり、または体育の授業中に

 

 

「あの選手の技術はすごい!」

 

「もっと技術を高めないと!」

 

「この子は技能レベルが高い!」

 

 

など、「技術」「技能」という言葉を頻繁に使います。

 

 

この技術と技能は、似たような言葉ではありますが、実は明確に違いがあります。

 

 

ここでは、この技術と技能の違いについて紹介しています。

 

 

 

技術(テクニック)

技術の定義

 

技術(テクニック)とは「課題解決に向けて工夫された運動の仕方」のことを言います(佐藤,2017:コーチング学への招待,日本コーチング学会)。

 

 

例えば陸上競技の走高跳のバーのクリアの「仕方」は、背面跳びやはさみ跳び、ベリーロールなどと、種類があります。

 

 

高いバーをいかにクリアするかが「課題解決」にあたり、背面跳びやはさみ跳び、ベリーロールがその「工夫された運動の仕方」です。

 

 

つまり、走高跳において、背面跳びやはさみ跳び、ベリーロールは異なる「技術」であると言えるわけです。

 

 

背面跳びやはさみ跳びは異なる「技能」である…と表現するのは間違いになります。

 

 

他に、陸上の4×100mリレーのバトンパスの仕方に「オーバーハンドパス」と「アンダーハンドパス」があることも、技術の違いということになります。

 

 

※バトンパスの「技術」の違い

 

 

競技種目それぞれで解決すべき課題があり、それを合理的に達成できる「仕方・方法・手段」に当たるもの、それが技術です。

 

 

 

技術の特性

例えば陸上の短距離走で、「あの選手の走りはなんだかクネクネしていて、すごい技術をしているな…」と、感じたとしましょう。

 

 

その選手のクネクネした動きは「技術(テクニック)」と言うことができるのでしょうか?

 

 

技術の重要な特性として、「一般妥当性」と言うものが挙げられます(マイネル,1981)。これは、その動き方が「他人にも適応可能なものなのかどうか」ということを意味します。

 

 

その動きは練習して、他人に転移可能なものなのか、そして目的の課題を達成するのに合理的な動き方なのか、単なるその人個人の動きのクセではないかを満たすことで、初めて「技術(テクニック)」と呼ぶことができるわけです。

 

 

 

技能(スキル)

技能の定義

 

一方、技能(スキル)とは「技術を実行する能力」を指します。

 

 

例えば走高跳において、背面跳びという技術は知っているけど、実際に背面跳びはできない…となれば、この人は「背面跳びの技術は知っているけど、背面跳びができる技能はないと言うことになるわけです。

 

 

この技能(スキル)の構成要素は、以下のようにまとめられます(以下、大築(1988)を基に解説)。

 

①状況判断能力
状況が刻々と変化する中で、最適な動き方を即座に判断して、実行できる能力です。例えば、走幅跳で風の状況を読み、適切に歩幅を調整して踏切を合わせられる能力…などです。「カン」が良い、とも言われます。

 

②正確さ
動きを正確に調整できる能力です。陸上のリレーのバトンパス時に、渡し手が適切なタイミングや角度でバトンを握る腕を伸ばせる能力(タイミング能力、ポジショニング能力)であったり、バドミントンのドロップショットで力の加減を絶妙にコントロールできる能力(グレーディング能力)のことを指します。

 

③素早さ
素早く動くことができる能力です。陸上短距離のスタートの反応時間や、サッカーのゴールキーパーがシュートに素早く反応して動ける能力などをいいます。

 

④持続性
正確な動きを何度も持続させられる能力です。ボーリングでは、1度ストライクを取るだけでは勝てません。連続してストライクを取り続けることが必要です。このように、正確な動きを何度も繰り返すことができる能力のことです。

 

 

 

技能を高める「コツ」と「カン」

 

技能を高めるためには「コツ」「カン」を意識します。

 

 

コツというのは、ある動作を行おうとした時に「こう意識したら上手く行った」、その時の意識、動きの感じ、感覚のことをいいます。

 

 

例えば、走幅跳の踏み切りは「足を前にスッと出す感じで」だとか、立幅跳では「腕を後ろからビュンっとスイングする感じで」だとかです。

 

 

関連記事

・立幅跳びのバイオメカニクス(立ち幅跳のコツ)

 

・走幅跳のバイオメカニクス(走幅跳のコツ)

 

 

対して、カンは周りの状況から即座に判断して適切な動きが出来ることです。バドミントンで思わぬコースにショットを打たれた場合に、すぐに反応してシャトルを拾うことができる…というのは「カン」で成せるものだと言えます。

 

 

このように、スポーツの練習では、その動作を合理的に行うためのコツを探りながら、同時に即座に判断して動けるようなカンを磨いていく必要があります。

 

 

まずはコツを探ったり、教えてもらったりして基本動作を身につける、そして実践的な練習の中で即座に反応して動くことができるカンを磨く…スポーツの技能(スキル)習得とは、この繰り返しだとも言えます。

 

 

 

 

 

参考文献

・佐藤(2017).コーチング学への招待,日本コーチング学会.
・マイネル,クルト. (1981). スポーツ運動学, 金子明友訳.
・大築立志. (1988). 「たくみ」 の科学. p185, 朝倉書店.

 

 




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