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立幅跳びのバイオメカニクス(立ち幅跳のコツ)

立幅跳びのバイオメカニクス

立幅跳びは、学校のスポーツテストでも用いられる運動で、水平方向にどれだけの距離ジャンプできるかを測定するものです。

 

参考動画(立幅跳びの世界記録??)

 

ここでは、立幅跳びの記録を伸ばすために必要なことを、バイオメカニクスの視点から紹介していきます。


立幅跳びの記録を決めるのは?

立幅跳びの記録を決めるのは、以下の3つの要因です。

 

①離地時のつま先と身体重心との距離
②滞空距離(踏切初速度と踏切角度で決まる)
③かかとの着地位置と身体重心との距離

 

 

①と③は、踏切、着地の技術によって変化します。①は地面をしっかりと押し切ることができないと広がりません。③は、しっかりと足を前に投げ出して、低い姿勢で着地することが重要です。

 

砂場で測定する場合は、着地足の地点にお尻を滑り込ませるようにすると、上手く距離を稼ぐことができます。これは、走幅跳選手の着地でも同様です。

 

参考動画(走幅跳の着地)

 

記録を伸ばすのに最も重要なのが、②の滞空距離です。これは、踏切でつま先が地面から離れた瞬間の速度と、踏み切った角度によって決まります。

 

最適な踏切角度は、踏切初速度によっても変化しますが、おおよそ25〜35°です。

 

したがって、立ち幅跳で記録を伸ばすためには、その角度で、どれだけ踏切初速度を得られるかに焦点を当てていく必要があるわけです。
では、踏切初速度を高めるためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?

 

立幅跳びの地面反力

踏切初速度を決めるのは、自分という物体に、どれだけ大きな力を長い時間かけて伝えられるか、すなわちどれだけ大きな力積(力の大きさ×作用時間)を得られるかで決まります。

 

以下の図は、立幅跳びでの地面反力と重心速度の鉛直方向、水平方向それぞれの推移です。

 

 

まず、反動をつける動作の最初で、鉛直方向の地面反力が減ります。これは、自分の身体を沈みこませることによって起こるものです。この局面を「抜重」と言います。

 

ここでしっかりと反動をつけることで、下肢の筋肉が引き伸ばされて、バネのようなエネルギーを蓄えることができます。

 

関連記事

・脚のバネを鍛える?(SSC運動: ストレッチ・ショート二ング・サイクル)

 

・垂直跳のバイオメカニクス(垂直跳のコツ)

 

その後、鉛直方向の地面反力がピークを迎えたあと、水平方向の地面反力がピークを迎え、前方向に高い速度を生み出します。

 

踏切離地時の初速度は、自分という物体にどれだけの力を、どれだけの時間作用させたか(力積)で決まります。つまり、地面反力×その作用時間を表す、図のVとHの面積で決まることになります。

 

この面積をどれだけ大きく出来るかが、立幅跳びの全てを決めると言っても過言ではありません。

 

 

立幅跳びのコツ

では、踏切初速度を高めるための地面反力の力積を増やすためには、どのようなコツが必要になるのでしょうか?ここからは「立幅跳びのコツ」について迫っていきます。

 

ダイナミックな反動動作をつける

立幅跳びでは、踏切準備動作の時に、グッと身体を沈みこませ、その反動動作を生かすことが重要です。

 

グッと身体を沈みこませると、お尻や膝、足首を伸ばす筋肉(臀筋、大腿四頭筋、腓腹筋など)が引き伸ばされ、その時にバネのようなエネルギーが蓄えられます。

 

筋肉は引き伸ばされながらの方が大きな力を発揮できる特性があるため、一度跳躍方向とは逆の向きに沈み込んだ方が都合が良いのです。

 

さらに、筋肉は瞬間的に引き伸ばされると、即座に縮もうとする「伸張反射」という働きがあり、これを利用することによっても、さらに発揮できるパワーが高まります。

 

このようにして蓄えたエネルギーを踏切で一気に解放することで、地面反力の大きな力積を得ることができるわけです。

 

 

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しっかりと身体を沈み込ませて、反動をつけて勢いよく飛び出しましょう。

 

 

 

ダイナミックな腕の振り込み

腕をダイナミックに振ることも、立幅跳びの記録を伸ばす鍵になります。この腕の振り込みの有無で、記録が7〜15%も違うと言われています(Davis& Jones)。2mくらい跳ぶなら、15〜30cmもの差になるわけです。

 

なぜ、腕の振り込みで記録が良くなるのでしょう?

 

それは腕の振り込みによって、身体が下に押し付けられ、下肢の筋肉が力を発揮しやすくなるからです。(この説明だけではパッとしませんね…。)

 

腕を勢いよく振り込むと、振り子の様な影響で、肩が下に押し付けられ、その力が体幹に伝わります。つまり、身体全体が下方に押し付けられるようになります。

 

筋肉は、収縮速度が低い方が、発揮できる力が高くなる特性があります。高い速度だと力が入れにくくなります。

 

なので、腕の振り込みを行うと、離地直前まで身体が地面に押し付けられるようになるので、下肢の筋肉が力を発揮しやすい状態になるわけです。

 

 

そこで力をグッと入れられると、さらに地面反力を増やすことができ、立ち幅跳の離地時の初速度向上につながるという仕組みです。

 

 

腕の振り込みはタイミングが命

腕の振り込みが重要だと言っても、踏切動作とのタイミングが合わなければ、上手く跳ぶことはできません。

 

以下の図は、脚の筋力に対して、立幅跳の記録が良い選手Aと、筋力に対して立幅跳の記録が悪い選手Bの動作や力発揮を比較したものです。つまり、選手Aの方が「上手い」跳躍をしています。

 

※横澤ほか(2016)より作成

 

薄い赤の矢印は地面反力、黄色い矢印は、肩関節から体幹に作用する力(肩関節力)を表しています。

 

B選手は、踏切の中盤で、腕が身体の前に来ている状態です。踏切で膝が伸びようとし始める前にすでに腕は前方に振られています。

 

腕が前に出てしまっていると言うことは、身体を下に押し付ける(肩関節力)は、この時既に無くなってしまっています。

 

一方選手Aでは、沈み込んで、膝が伸びようと力を発揮するタイミングと、腕の振り込みによって身体を下に押し付けるタイミングを合わせることができています。

 

離地直前まで身体を下に押し付ける力を発揮できているため、そのタイミングで膝関節が発揮している力は、B選手と比較してかなり大きくなっています(下図参照)。

 

 

このように、沈み込んだ反動で膝を伸ばそうとするタイミングで、腕が勢いよく下方に振られていることが、効率よく力を発揮できるために重要です。

 

腕振りのタイミングは早すぎても遅すぎてもいけないということです。

 

 

合わせて読みたい!

 

参考文献

・横澤俊治, 熊川大介, 荒川裕志, 勝亦陽一, & 赤木亮太. (2016). 立幅跳踏切動作中の下肢関節パワーと等速性最大筋力との関係に関するバイオメカニクス的研究. 体育学研究, 15082.

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