~サイト内の関連記事を検索~


垂直跳のバイオメカニクス(垂直跳のコツ)

 

 

 

 

垂直跳は、その名の通り垂直にどれだけ高く跳ぶことができるかを測定する運動です。

 

 

この垂直跳の能力は、両脚で地面を踏み込んで高く跳ぶことが求められるバレーボールやバスケットボールなどのスポーツで高いパフォーマンスを発揮するために重要な能力だと言えるでしょう。

 

 

では、垂直跳で出来るだけ高く跳ぶためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?

 

 

ここからは、バイオメカニクスの視点から、垂直跳でより高く跳ぶための動作や力発揮についてみていきます。

 

 

参考動画(約120㎝!?47.1インチの垂直跳)

 

 

 

 

垂直跳の記録を決めるのは?

 

垂直跳の記録は、地面から足が離れる瞬間の鉛直初速度で決まります。

 

 

体重が重くても軽くても、フォームがおかしくても、男女の違いがあっても、これは変わりません。離地時にどれだけ上向きの速度を持たせられるかで、垂直跳の記録は決まってしまうわけです。

 

 

物体に働く重力は常に一定で、どんな物体にも鉛直下向きに9.8m/s2の加速度がもたらされています。鉛直上向きの速度が同じなら、重い物体も軽い物体も、同じだけの重力加速度を持ち、同じ高さまで上がり、同じタイミングで地面に落ちてきます。

 

 

したがって、垂直跳で好記録を出すためには、離地時の鉛直初速度をどれだけ高められるかを最終的な目的に設定する必要があると言えます。

 

 

 

 

垂直跳の地面反力

 

では、離地時の鉛直初速度を高めるためには何が必要なのでしょうか?

 

 

そのカギが垂直跳中の地面反力に隠されています。

 

 

以下の図は、垂直跳での地面反力の変化を表したものです。

 

 

 

 

まず最初の①の局面では、自分の体重の分だけ地面反力が発生しています。何も動いていないので、この地面反力は一定です。

 

 

②では、踏み切りの準備動作として身体を沈み込ませる時に地面反力が減っています。これを抜重と言い、自分の重心位置をいきなり下方向に加速させることによって起こります。

 

 

③では、沈み込みによる重心位置が最下点になり、下降していた重心速度を停止させるために、地面反力が増えていき、ここで地面反力は最大になります。

 

 

どれくらいの力がどれだけの時間作用したか「力積」と言いました。

 

 

関連記事

・「運動量・力積」とその求め方

 

 

この場合、地面反力の曲線と時間軸で囲まれた面積が力積ということになりますが、沈み込みによって起きる抜重時の②の力積と、重心が最下点に達するまでの③の力積は同じになります。

 

 

なぜなら、重心を下向きに加速させるのに要する力積と、逆向きで同じだけの力積がなければ、その速度を0にすることはできないからです。

 

 

次に④の局面では、上方向に身体全体を使って伸び上がり、鉛直上向きの速度を高めて、地面から足が離れることになります。ここで地面反力が減っていくのは、収縮速度が高くなるほど、筋肉は筋力を発揮しにくくなる特性があるからです。

 

 

その後、地面から足が離れる瞬間まで地面反力は低下していき、離地時に0になります。地面反力が自分の体重を支える力よりも小さくなると、身体にかかる重力の方が大きくなってしまうので、身体の鉛直速度が少しだけ低くなります。これは力積の⑤の部分の大きさによるものです。

 

 

大きな力を長い時間作用させるほど、物体は加速して高い速度を持ちます。動き出しから垂直跳びの動作全体を通して、体重よりも大きな上向きの力積をどれだけかけられたかで、上向きの速度が決まるわけです。離地時にどれだけ大きな鉛直上向きの初速度を得られるかは、④から⑤の力積を引いた分で決まることになります(⑤はどうしようもないところがあるので、④をいかに高めるかが重要)。

 

 

つまり、沈み込んだ局面から伸び上がり切るまでにどれだけ大きな力を地面に伝えられるかが、垂直跳の記録を決めることになるのです。

 

 

空中でどれだけ足掻いても跳躍高は変わりません。ちなみにこの時にかかる地面反力の大きさは、体重の約1.5倍ほどになると言います(深代ほか,2010)。

 

 

 

力積を増やす?反動と腕の振り込み

 

垂直跳の記録は離地時の鉛直初速度によって決まり、その初速度を高めるためには沈み込みから離地までの力積を大きくすることが必要だと説明してきました。

 

 

では、その力積を効果的に増やすためにはどんなことが必要なのでしょうか?その答えとなるのが「反動動作」「腕の振り込み動作」です。

 

 

 

反動動作

ジャンプ動作に大きく関わる筋肉が、股関節や膝、足首を伸ばす、下肢3関節の伸筋群です。

 

 

グッと、瞬間的に沈み込みを行うことで、これらの筋肉が力を発揮しながら引き伸ばされます。

 

 

筋肉は、引き伸ばされながら力を発揮する(エキセントリックな筋収縮)とき、縮みながらの時よりも大きな力を発揮できる特性があります。これは先の図の力積の②と③の局面に当たり、②と③で大きな力積を獲得できるほど、離地時の鉛直初速度を決める④の力積の大きさを高めやすくなります。

 

 

関連記事

・サルでもわかる、伸張性収縮(エキセントリック収縮)の特徴

 

 

また、急激に引き伸ばされた筋肉は、即座に縮もうとする働きが起きます。これを伸張反射と言います。垂直跳びの反動をつけるタイミングで、筋が素早く引き伸ばされる局面で伸張反射が働くことで、沈み込み時の筋張力を高め(力発揮を早め)、筋腱の弾性エネルギーをより効率的に蓄えられると考えられます。

 

 

腱はゴムやバネのように引き伸ばされると縮もうとする弾性要素を持った組織です。この引き伸ばされて腱が縮もうとする勢いを使えることが、垂直跳で反動動作を使うことの利点と言えます。

 

 

 

 

 

このように、筋肉が引き伸ばされ、それに付随して腱も引き伸ばされて大きなエネルギーを蓄え、パチンコのように一気に縮もうとする力によって、より大きな筋力や筋の収縮速度を得ることができるわけです。このバネのような一連の運動を「SSC運動(ストレッチ・ショートニングサイクル運動)」と言います。

 

 

 

腕の振り込み動作

垂直跳では、腕を勢いよく振り込むことも重要なスキルになります。

 

 

腕を後ろから下に押し付けようとするまでに、振り子のような影響で、地面反力を増やすことにつながります。

 

 

また、腕を下から上に振り上げようとする時、その反作用で肩や胴体が下に押し付けられるようになります。すると、下肢の筋肉の収縮速度が少しだけ遅くなります。

 

 

筋肉は収縮速度が遅いほど大きな力を発揮できる特性があるので、さらに大きな力を発揮できるようになるというわけです。

 

 

 

 

しかし、腕振りのタイミングがズレてしまうと、上手く地面反力を増やすことはできません。

 

 

地面反力が最大になる、沈み込みの最下点に来た時に、腕を振り上げる速度も最大になるようにタイミングを図ってみましょう。

 

 

おすすめ書籍

 

    

 

    

 




~サイト内の関連記事を検索~