垂直跳を行うときは、身体を沈み込ませて、股関節や膝、足首の下肢3関節を勢いよく伸ばすことが必要です。
また、この時に腕の振り込み動作や、沈み込みによる反動動作を上手く使うことで、より大きな地面反力の力積が得られ、高く跳べることを以下の記事で紹介しました。
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参考動画(約120㎝!?47.1インチの垂直跳)
ここでは、膝と足首を伸ばしてジャンプする動作をより合理的にしている「二関節筋のエネルギー伝達」について説明します。
二関節筋のエネルギー伝達
垂直跳を行うとき、膝を伸ばす動作が必要です。この時、膝を伸ばす役割を担う「大腿四頭筋」が短縮します。
膝が伸展すると、膝の裏側にある腓腹筋の付け根部分が、必然的に上に引っ張られます。腓腹筋は「二関節筋」といい、膝関節と足関節の2つの関節をまたいでいる筋肉です。
腓腹筋が上に引っ張られるということは、腓腹筋の末端部分の踵部分も同時に上に引っ張られ、足首が伸ばされる力になります。
つまり、膝を伸ばす力によって、腓腹筋が引っ張られ、その力は足関節を伸展させる力に伝達されるというわけです。
これが「二関節筋のエネルギー伝達」です。
どれくらいのエネルギーが伝達する?
大腿四頭筋という大きな筋肉が発揮した力が、腓腹筋で発揮した力と合わさり、より強力に足関節を底屈(つま先を下げる)できるようになります。
Bobbertほか(1986)の研究によれば、垂直跳で発揮した足関節の仕事量(172J)の内訳は、下腿三頭筋が128J(うち筋肉60J、腱68J)、膝関節から伝達されたエネルギーが44Jほどだったと言います。
このように、ジャンプ中に足首で発揮するエネルギーの約25%は、膝からのエネルギー伝達によるということになります。
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参考文献
・Bobbert, M. F., Huijing, P. A., & van Ingen Schenau, G. J. (1986). A model of the human triceps surae muscle-tendon complex applied to jumping. Journal of biomechanics, 19(11), 887-898.