反動動作をつけることで、なぜジャンプ力が上がるのでしょうか?考えられる主なメカニズムとして、以下の3点を挙げて説明していきます。
腱の弾性エネルギーの蓄積・解放
足首の底屈に関わる下腿三頭筋とアキレス腱の筋腱複合体(筋肉と腱を一つのまとまりとしてみた時の呼称)は、連続でジャンプするような運動時に重要なバネの働きをします。

ジャンプ中、地面に足が接地する直前、下腿三頭筋が働き出します。これを、筋肉の予備緊張といいます。
接地の瞬間、筋腱複合体が衝撃で引き伸ばされます。アキレス腱はバネのように、引き伸ばされると縮もうとする働きがあるので、この時にアキレス腱にバネのようなエネルギーが蓄えられることになるわけです。
これが「腱の弾性エネルギーの蓄積」です。
その後、地面を離れる瞬間に弾性エネルギーを解放(バネが元に戻るエネルギー)して、より大きなパワーを生み出すことができるというわけです。
また、腱はエネルギーを消費しにくいため、この腱をうまく使えると、運動中のエネルギーの消費を少なくすることができます。
エリートマラソンは腱をうまく使えることで、効率よくランニングを行うことができているとも言われています。
筋肉の伸張反射
連続ジャンプの着地瞬間など、筋肉が急激に引き伸ばされると「筋紡錘」という筋肉の長さの変化を感じ取るセンサーが反応し、筋肉を急激に縮ませようとします。
これを「伸張反射」といい、SSC運動でのパワーを増幅させる仕組みの一つであると考えられています。

エキセントリック収縮による筋力増幅
筋肉は通常の収縮時、収縮速度が高いほど、発揮できる筋力が小さくなってしまうという特性があります。
しかし、筋肉が収縮しようとしながら引き伸ばされる伸張性の筋収縮(エキセントリック収縮)の時には、収縮速度がある程度高いほど、大きな筋力を発揮できます。

関連記事
連続ジャンプ時や垂直跳の沈み込みの局面では、筋肉がグッと引き伸ばされることになります。
この時、筋肉が大きな力を発揮できるようになるため、より大きな弾性エネルギーを蓄積することにつながるわけです。
このように、伸張反射や引き伸ばされる筋肉の筋力増幅、それによる腱の弾性エネルギーの蓄積…これらが合わさり、強力なジャンプ力を生み出すことができます。
したがってSSC運動は、スポーツのパフォーマンスを高めるために重要なスキルの一つであると言えるわけです。。