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愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

これは、有名なドイツの政治家「ビスマルク」の言葉です。

 

失敗を避けるためには、他者の経験から多くを学び、実行することが大切だということを教えてくれています。

 

「失敗は恐れちゃいけないし、自分で失敗をしないと分からないこともあるんじゃない?」

 

との声も聞こえてきそうですが、陸上競技の選手である場合は話が違ってきます。

 

なぜなら多くの人にとって、「選手でいられる時間は限られている」からです。

 

中学で陸上をやめる、高校で陸上は終わりにするという選手がほとんどです。大学でも競技を続ける人もいますが、実業団入りなどを果たさない限り、そのほとんどは大学卒業とともに現役を引退します。

 

つまり、陸上選手としての自己実現を果たすためには、中学3年間、高校3年間、大学4年間で、望んだ結果を出す必要があるわけです(もちろん、指導者の立場からすれば、選手の将来を見据えた指導、その時期の結果にこだわらない、長期的な指導は大切です)。

 

先人たちが経験してきた失敗と、同じ失敗を繰り返し続けていたら、あっという間にその限られた時間は無くなってしまいます。

 

ということは、限られた時間の中で成功を収めるためには、他者がすでに経験した失敗、すでに効果が無いと分かっている行動は、できる限り避けなければいけません。

 

有効であろう手段を考えに考え抜いて実行に移す。これをひたすらに繰り返し、その上で失敗をするのなら仕方がない、考える糧にして、次に生かす。これが重要です。

 


車輪の再発明問題

自分の経験のみに頼って練習をする代償として、「車輪の再発明問題」が挙げられます。

 

車輪の再発明(しゃりんのさいはつめい、英: reinventing the wheel)は、車輪を題材にした慣用句であり、世界中で使われている。「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに(または意図的に無視して)、同様のものを再び一から作ること」を意味する。(Wikipediaより引用)

 

陸上競技のトレーニングに置き換えると、自分が「これは効果があるんじゃないか?」と考えついたトレーニングやトレーニング計画は、すでに誰かが考えていて、実践して、検証済みかもしれない

 

ということです。そして一番残念なのが、

 

「効果があるかもしれない、やってみよう」と思いついた方法が、すでに誰かが徹底的に検証して効果がないと分かり、誰もやらなくなった方法…であった場合です。

 

考えに考え抜いて思いついた方法が、実は「すでに効果なしとされていた方法」だったら落ち込みます。

 

しかも、「すでに効果なしとされていたトレーニング」に1年も費やしてしまっているのだとしたら、これ以上もったいないことはありません。

 

すなわちこれは、他者の経験、失敗から学んでいなかった、ということです。

 

でも、「他の人はあの方法で失敗しているけど、自分は成功するかもしれないじゃないか!」

 

そう反論する人もいるかもしれません。

 

確かにそうで、全ての人に効果がある、全ての人に効果がない…そう断言出来るような方法は恐らく存在しません。

 

しかし、

 

・ほとんどの人には効果がある、ほとんどの人には効果がない、そういう方法が存在している。

 

・なぜ効果があるのか、ないのか、その理由、メカニズムがあるはず。

 

上記の2点がもし分かっているのだとしたら、歴史から学んでいる人と、そうでない人では、その後の行動、そして結果に間違いなく差が出ます。失敗のリスクが大きく下がるからです。

 

先に説明した通り、限られた時間の中で結果を出すには、自分の経験だけではなく、他者、歴史から学び、考えに考え抜いて行動し続ける必要があります。

 

では、ここでいう「他者の経験、歴史」はどのようにして学べば良いのでしょう?

 

「他者1人の経験だけ」から学ぶ危険性

他者1人から聞いた話は、客観性が非常に低い情報だと言えます。

 

「例えばAさんは、トレーニング❶をしたら筋力が上がったよ。おすすめだよ。」と言われたとします。

 

このことから、

 

「トレーニング❶は筋力アップに効果的である」

 

としてしまうのは「客観性が低い」というわけです。

 

なぜなら、Bさんには効果が無いかもしれないし、Cさんにはなんと逆効果かもしれないからです。

 

ましてや、トレーニング❶を実施していた期間に、食事内容が変わっていたかもしれませんし、トレーニング❶をやるために、他のトレーニングを減らしたから、筋力が上がったということも考えられます。

 

もちろん、他者の経験談なんか役に立たないと言っているわけではありません。先人の知恵と呼ばれるものを聞く価値は十分に高いと言えます。

 

しかし、先輩から「俺はこれをやって記録を伸ばした」と言われて、「ためになるなぁ〜」と感じてしまっても、それは非常に客観性の低い情報であることを忘れてはいけません。

 

自分に当てはまるかどうかはわかりませんし、ましてや、相手の意図したニュアンスと自分の受け取り方にかなりの齟齬が発生している場合もあります。

 

「じゃあ一体なにを信じたらいいの?」

 

そう考えてしまうのも無理はありませんが、そもそも「誰でも100mを10秒台で走れる方法」が無いのと同じように、スポーツのパフォーマンスを高めるのに、絶対に効果が保証されている方法なんか存在しません。

 

常に考えて、よりベターな選択をし続けるしかありません。

 

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