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【そんなものはない】誰でも100m10秒台で走れる方法

誰でも〇〇m〇〇秒台で走れる方法

「誰でも〇〇m〇〇秒台で走れる方法」というタイトルの記事。ネットや雑誌で似たようなニュアンスのものをしばしば目にするようになりました。

 

誰でも「それ」をやれば100mが10秒台、5000mが14分台、走幅跳が7m…が、達成できるのであれば、こんなに嬉しい情報はありません。

 

そんな方法が世の中に出回ってしまうと誰でも10秒台、14分台、7mが達成できてしまうので、各地のインターハイ路線では、その記録を持っていないと県総体にも出場できなくなってしまいます。そんな情報が流出してしまっては日本陸上界、ましてや世界の陸上界に革命が起きること間違いなしです。

 

そんな素敵な方法があると言っているにも関わらず、誰一人として騒がない、一流学術誌、某テレビ局にに取り挙げられないのは何故なのでしょうか?

 

それは「そんなものない」からです。至極当然です。

 

でも、人間そういう方法があると信じたい、これさえやれば10秒台が達成できる、そんなトレーニングがあると信じたいと思ってしまうので、「誰でも〇〇m〇〇秒台を達成できる方法」というものをみると「おっ!これは!」と思ってしまうわけです。

 

これは「楽に痩せたい、すぐ痩せたい」と思っている人が「1ヶ月で14kg痩せた伝説のサプリ!!」に「おっ!」と思ってしまうのと同じような思考です。

 

しかし、「痩せたいのに痩せられない」「どうしても痩せたい」と強く思っている人は、それはもう強烈に胡散臭そうなサプリメントにも実際に手を出してしまいます。

 

なぜなら人間は、コンプレックスだとか、不安、不満だとか、あるいは病気だとか、「負の状態」にあることを極端に嫌がり、一刻も早く抜け出したいと強く思うからです。

 

そして、現状を変えたいと思っているのにも関わらず、それを「楽して達成したい」と思っている自分もいるわけです。サプリ飲むだけで14kg痩せるならこんなに楽なことはありません。お金だけなら喜んで払います!と。

 


人は考えることを嫌う

「〇〇m〇〇秒で走る方法」にどうしても興味を引かれてしまう人がいる理由がもう一つあります。

 

それは「方法を知れば考える労力が少なくなるから」です。

 

人間は「自分の頭で考えること」「悩むこと」を嫌います。基本的に苦悩を避けたがります。

 

ダイエットであれば、痩せるためにはどんなことが必要なのか、考えに考え抜くことを嫌います。考えたとしても何をしたら良いのか自分で決められない、悩むのはしんどいし、誰か答えを与えて欲しい、人はそういう生き物です。

 

そこに「〇〇したら痩せられる!」という謳い文句で売られている商品を目にすると、藁をも掴む思いで飛びつくわけです。

 

「〇〇m〇〇秒で走る方法」も同様です。

 

とりあえずその方法だけを実践すれば、記録が伸びて自分の目標を達成できる。

 

本当にそれができるんなら、こんなにも楽なことはありません。苦悩もないですし、ひたすらそれを実行することだけに集中できます。

 

自分の足を速くするために何が必要なのか、足を速くするためにはどんな情報を集める必要があるのか、自分の特徴や環境を考慮すると、どのようなトレーニングをどのような計画でどういう意識でやるのが良いのか…

 

などと、本来自分の頭で考えなくてはならないことを放棄できるので、「〇〇m〇〇秒で走る方法」という言葉に飛びついてしまいます。

 

「短絡的思考では失敗する」

じゃあ自分は100mで10秒台だとか、5000mで14分台だとか、走幅跳で7.00mだとか、そういった目標を達成することはできないのでしょうか?

 

もちろんそんなことはないはずです。

 

万人に共通する「〇〇m〇〇秒で走る方法」なんてものがないだけで、自分が目標の記録(とは言っても現実的な)を達成するための方法はあるはずです。
よく、「100mで10秒台で走るための方法を教えて下さい!」系の質問を受けますが、「〇〇すると、〇〇になれる!」、そんな方法があるほど、スポーツのパフォーマンスを高めるための仕組みは甘くありません。

 

その人個人にとって、爆発的に記録が伸びるような方法、トレーニングというものはあるのかも知れませんが、それはその人の記録レベルや性別、種目、これまでの練習状況や体格、フォームや性格、食事内容、最近の身体の状態等々をじっくり分析して、初めて提案できるものだと思います。

 

さらにそれは〇〇という一つのトレーニング方法ではなくて、やはり「綿密に計画された長期的なトレーニング計画」になるはずです。

 

結果を出しているチームは、非常に優秀な監督やコーチが、自身の経験やあらゆる知見をフル活用して、そういう長期的な計画を選手とともに考え、実践しているからだと言えるでしょう。

 

このようなことから分かるように、100mを10秒台で走る練習を教えてくれ!と言われても、他にその人の情報が何もないのに分かるわけがない、提案できるとしても、それは単一のトレーニング方法だけではなくて、長期的な計画が必要になります。

 

つまり、自分が目標の記録を出そうと思ったら、「自分が記録を達成するための長期的なトレーニング計画」を考えられないとダメなわけです。

 

方法・手順ではなく、仕組みで学ぼう

自分にとっての長期的な計画を立てられるようになるのが大事なのは分かったけど、じゃあどうやって立てたら良いのよ!自分にはそんな知識とか無いし…と、多くの人が悩みます。

 

しかし、それに対しては、「知識を得て下さい」としか言えません。

 

どうやったら足が速くなるのか、歩けるのか、遠くに跳べるのか、遠くに飛ばせるのか、そのための身体の仕組みや、その要素を向上させるための視点について学びましょう。

 

ハードルジャンプは効果があるの?どうやってやるのがいいの?坂ダッシュって効果があるの?などのトレーニング方法のことではありません(なんかやればなんかの効果はあるんじゃない?)。

 

記録を伸ばすために必要な能力は何か?そのためには身体にどんな刺激を与えたら良いのか、という「仕組み(メカニズム)」について学ぶ必要が必ず出てきます。

 

仕組みを理解した上ではじめて、自分にあったトレーニング方法が考えられるようになるわけです。

 

多くの場合は「方法」から学ぼうとしてしまうので、「この練習は自分に合っていた、あの人には合っていなかった問題」が発生します。

 

仕組みを学んで、自分の特徴や経験も加味した上で、トレーニング方法を練ることで初めて、「私が〇〇m〇〇秒台で走れるであろう方法」が完成するわけです。

 

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