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上半身の静的ストレッチは、投てき選手のパフォーマンスに悪影響か?

 

 

静的ストレッチは、その後のジャンプやスプリントパフォーマンスに悪影響

 

ジャンプやスプリントなどの爆発的な運動パフォーマンスを発揮する直前に、静的ストレッチを長時間(一か所を30~60秒以上など)行うと、その運動パフォーマンスが低下してしまうことが知られています。

 

 

これは、静的ストレッチによって筋肉の緊張度合いが低下し、リラックスしてしまうことで、筋肉を一瞬で硬くして筋腱をバネのように使いづらくなってしまうことが原因の一つです。

 

 

したがって、特に理由がない限り、ジャンプやスプリントなど、下肢を爆発的に使うようなパフォーマンス発揮の前には、下肢の静的ストレッチをガシガシ行うのはあまり良くないとされています。

 

 

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一方で、「投てき運動」は、ジャンプやスプリントと比較して、主に上半身を爆発的に使うような運動です。このような運動でも、直前に静的ストレッチを行うことが、パフォーマンス低下に繋がり得ると予想できます。

 

 

 

ストレッチの種類が、その後の投てきパフォーマンスに与える影響

 

Torresほか(2008)の研究では、静的ストレッチ、動的ストレッチ、静的+動的ストレッチの組み合わせ、ストレッチなし、の4パターンで、その後の投てきパフォーマンスに違いがあるかを調べています。研究では、投てきパフォーマンスの指標として、ベンチプレススロー(1RMの30%の重さのバーベルを、ベンチプレスの要領で投げ上げる運動)、膝立ちのオーバーヘッドメディシンボールスロー、座った状態からの側方へのメディシンボールスローが用いられました。

 

 

その結果、静的ストレッチ、動的ストレッチ、静的+動的ストレッチの組み合わせ、ストレッチなしの、どのパターンでも、投てきパフォーマンスに顕著な違いがみられませんでした。が、座位で側方にメディシンボールを投げるテストでは、静的+動的ストレッチの組み合わせが、高いパフォーマンスを示しました。

 

 

 

 

このことから、上半身の静的ストレッチは、投てき運動のパフォーマンスにそこまで悪影響を与えないことが示唆されています。

 

 

しかし、この研究での静的ストレッチは各部位15秒間の2セットで行われていることや、投てきパフォーマンスの測定までに5分程度時間が空いていること、ストレッチした筋肉と測定した投てき運動で使用する筋肉が全て完全に一致しているわけではないことに注意が必要です。もう少し長く、かつ強めに静的ストレッチをやっていたり、反動を大きく使うような別の投てき運動だと、違う結果になっていたことも考えられます。基本的に、静的ストレッチをガシガシやれば、その筋肉での爆発的な力発揮、パワーは低下しやすいという認識でいた方が良いでしょう。

 

 

とはいえ、スポーツのパフォーマンスは筋肉そのものの力発揮だけで決まるものではありません。投てき種目のように、シンプルなようで複雑な動作が求められる種目では、特定の可動域に制限がある場合、静的ストレッチをすることで、技術的に良い変化を生み、それがトータルでのパフォーマンス向上につながることもあり得るでしょう。

 

 

目的に合わせた、ストレッチを行うことができる、そのための引き出し(知識)を多く持っておくことが大切です。

 

 

参考文献

・Torres, E. M., Kraemer, W. J., Vingren, J. L., Volek, J. S., Hatfield, D. L., Spiering, B. A., ... & Häkkinen, K. (2008). Effects of stretching on upper-body muscular performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 22(4), 1279-1285.

 




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