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短距離走で強化したい局面に応じた、脚のバネのトレーニング

短距離走で強化したい局面に応じた、脚のバネのトレーニング

 

 

短距離走のカギとなる、3つの能力

 

陸上競技の100m、200mなどの短距離種目で高いパフォーマンスを発揮するためには、「①爆発的な加速力」「②高いトップスピード」「③速度維持能力」の3つを高めていくことが必要です。特に重要と言われるのが「②トップスピード」ですが、100分の1秒を争う短距離走において、当然スタートからの加速力や、後半の速度維持能力をおろそかにしてはいけません。

 

 

また、短距離選手の中には「スタートからの爆発的な加速力はあるけど、トップスピードが低く、後半に追い付かれてしまう選手」や、「トップスピードは高くて後半追い込んでいくのは得意だけど、スタートで大きく出遅れてしまっている選手」などと、得意な局面、不得意な局面がある選手も多いでしょう。

 

 

そのため、自分の長所と短所を理解して、短所を補ったり、長所をさらに伸ばすような、局面ごとに応じたトレーニングをしていかなくてはいけません。

 

 

では、「スタートからの加速を改善するトレーニング」や「トップスピードを改善するトレーニング」には、どのようなものが挙げられるのでしょうか?それを考えるための一つの材料として、「局面に応じて、どのような筋力が必要かを理解すること」が挙げられます。

 

 

 

短距離走の局面ごとに重要になる「脚のバネ特性」

 

Bret(2002)の研究では、100m走のどの局面に、どのような能力が関連しているのかを調べるために、100m走の各局面(30mまで、30m-60m、60m-100m)の疾走速度と、スクワット時の最大筋力、垂直跳び、脚のスティフネスとの関係を調査しました。

 

 

※脚のスティフネス:一定量、脚が曲がるのにどれだけの力が必要かを表す指標。いわゆる脚のバネの硬さを示すもの。

 

 

その結果、スクワットでの筋力が高いほど、100m走全体、および30mまで、30m-60m、60m-100mと、すべての局面の疾走速度が高い傾向がみられました。

 

 

また、垂直跳びの記録は、主にスタートから30mまでの疾走速度との関係が強く、30m-60mのトップスピードに達するまでの疾走速度や、トップスピードに達するまでの二次加速能力(30m-60mの疾走速度から30mまでの疾走速度を引いたもの)は、脚のスティフネスとの関係が強いことも分かりました。

 

 

したがって、スクワットなどの最大筋力は、100m走全体に渡って高いパフォーマンスを発揮するための土台として重要であり、垂直跳びなどのジャンプ能力はスタートからの初期の加速能力に、脚全体の硬いバネのような能力は、主にトップスピードを高めるために重要だと考えられます。

 

 

 

 

このように、100m走の局面ごとに特に重要な能力、全体を通して重要な基盤の能力があると言えそうです。

 

 

 

短距離走の各局面に応じた筋力トレーニング

 

短距離走の各局面に応じて、重要度の高い筋力や、全体の基盤となるような筋力があるならば、それに応じたトレーニングを知っておくと有益なことは間違いありません。それらに応じたトレーニングを、いくつか紹介しておきます。

 

 

土台の筋力を作るウエイトトレーニング

 

参考動画(スクワット)

 

 

参考動画(デッドリフト)

 

 

 

爆発的なスタートにつながるジャンプトレーニング

 

参考動画(ボックスジャンプ)

 

 

参考動画(メディシンボール投げ)

 

 

 

トップスピード向上につながるジャンプトレーニング

 

参考動画(スピードバウンディング)

 

 

参考動画(アンクルホップ)

 

 

 

参考文献

・Bret, C. (2002). Leg strength and stiffness as ability factors in 100-m sprint running. J Sports Med Phys Fitness, 42, 274-81.


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