“ストライドを伸ばすためのマーク走を考えるときは、「膝や足首、股関節を伸ばしすぎてしまう動作」が出ない範囲でマークを広げるか、その他の動作でカバーして、ストライドを獲得する必要があると言えるでしょう。”
前段にて、上のようなことを言いました。では、ここでいう「その他の動作」とは何なのでしょうか?その一つに遊脚の動きが挙げられます。これについては、ピッチ向上を意図したマーク走についても通ずるところがあるため、まとめて説明します。
遊脚とは、地面に足が付いていない側の脚のことです。この遊脚の使い方が、ピッチを保ったままストライドを向上させたり、またはストライドを維持したままピッチを高めるための手掛かりになります。
以下の図は、ピッチが同じくらいでもストライドが大きい人の特徴、ストライドが同じくらいでもピッチが高い人の特徴を示したものです(参考:豊嶋&桜井,2018)。
ピッチが同じくらいでも、ストライドが大きい人の走りは、「蹴り出しで膝や足首を伸ばしきるような動作があまりみられないこと」、そして「遊脚を素早く引き出して、上に弾むための力を上手く補っていること」と、なると思われます。
つまり、地面に接地している方の脚で蹴り切らずに、接地の瞬間に脚を硬くして(もしくはあらかじめ硬くしておいて)、遊脚の振り子のタイミングを早めて弾んでいるわけです。
一方、ストライドが同じくらいでもピッチが高い人は、走りの中であまり腿が後ろに行かず(腿が流れない)、大きな筋力を素早く発揮して動作をスピーディーに切り返せているということになります。加えて、接地が自分の重心に近い位置になっているようです。「身体の真下に近いところを踏んで、股関節を素早く切り返し続けている」イメージでしょうか。
このことを分かりやすく説明した指導方法に、福島大学の川本和久先生による「ポン・ピュン・ラン走法」が挙げられます。真下に踏んで、遊脚を早くスイングするというポイントが、小学生にも分かりやすく伝わるように工夫されています。
関連動画「ポン・ピュン・ラン走法」
これに加えて、腕を素早く大きく振ることができているか、姿勢が崩れていないか、などの基本的な部分も、ストライドをコントロールした練習時にみるべきポイントとなるでしょう。
これらのことを考慮して、ストライドを意識したマーク走、ピッチを意識したマーク走について、練習時の意識や評価のポイントについて考えてみました(以下、参考までに。)おおよそ似たような感じになるかと思います。