~文献~
Trehearn, T. L., & Buresh, R. J. (2009). Sit-and-reach flexibility and running economy of men and women collegiate distance runners. The journal of strength & conditioning research, 23(1), 158-162.
この研究では、身体の柔軟性と走りの効率(ランニングエコノミー)の関係を調べています。
※ランニングエコノミー:体重当たり、一定の走速度を保つのにどれくらい酸素を消費するかを表す指標。車でいう燃費。
対象者は大学長距離選手男女各4名(10000mタイム:男子33分57秒±2分13秒,女子39分45秒±2分37秒)でした。
柔軟性の指標として長座体前屈を実施し、走りの効率はトレッドミル上(ランニングマシン)でスピードを徐々に上げていくテストで実施し、限界の走速度の手前の速度でのランニングエコノミー(絶対的なランニングエコノミー)と、10000m走のタイムを基にしたペースでのランニングエコノミーを割り出しました。
その結果、長座体前屈の記録は男子よりも女子の方が優れており、男女合わせて検討してみると、走れなくなる限界直前の走りの効率は、長座体前屈の記録が良いほど、低いことが分かりました。

筋肉がある程度硬い、または筋肉を硬くできることは、筋肉や腱のバネ的な筋力を引き出すのに重要だと言われています。ここで、柔軟性が高過ぎると、特に腱の能力を効率よく引き出すことができなくなってしまうと考えられます。ここで見ているのはあくまで長座体前屈の記録とランニングエコノミーの相関関係ですが、身体は柔らかければ柔らかいほど良いという訳ではないことに注意しておきましょう。
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参考文献
・Trehearn, T. L., & Buresh, R. J. (2009). Sit-and-reach flexibility and running economy of men and women collegiate distance runners. The journal of strength & conditioning research, 23(1), 158-162.