陸上選手が筋肉量を維持したまま、減量する方法




陸上選手が筋肉量を維持したまま、減量する方法


競技スポーツ選手にとって、「減量」は非常に重要な課題です。

 

 

特に陸上長距離種目に代表される持久系種目、新体操、フィギュアスケートなどの審美系のスポーツ、体重制限のある柔道やボクシングなどのスポーツでは、脂肪を減らしていくことが必要になります。

 

 

このようなアスリートは、トレーニングや食事をコントロールすることによって、減量を行うことが多くあることでしょう。その時に気になるであろうことが「減量中に筋肉が減ってしまわないか?」ということです。

 

 

パフォーマンスを高めるために、せっかくつけた筋量・筋力を、減量によって損なってしまうのは非常にもったいないことです。つまり、できる限り筋量・筋力を維持しながら減量を行うための知識は、このようなアスリートになくてはならないものです。

 

 

では、それを達成するためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?

 

 

 

 

カロリー収支をマイナスにする

 

体重は摂取カロリーを、消費カロリーが上回ると減少します。したがって、これが達成されていなければ減量が上手くいきません。綿密なカロリー計算はかなり手間がかかってしまいますが、どんな食べ物がどれくらいのカロリーを有しているのか少しは気に掛けるようにして、自分が普段どれくらいのカロリーを摂取しているのか把握しておくようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

一般的なスポーツ選手の1日の消費カロリーは以下の図の通りになります。これが自分の普段の摂取カロリーの目安です(あくまで目安)。減量中はこれよりもやや低い摂取カロリーにすることが最低限必要なこととなります。

 

 

 

 

 

ここで注意すべきことは、絶対に摂取カロリーが基礎代謝量を下回らないようにすることです。それ以上摂取カロリーを低くすると、体の機能を害してしまう危険性が非常に高くなってしまいます。さらには、減量中も競技スポーツのトレーニングを行うとすれば、そのトレーニングをこなすための最低限のエネルギーは摂取しておかなければなりません。スポーツのパフォーマンスを高めるためにトレーニングをしているはずなのに、逆に体調を崩してしまい、トレーニングが継続できずにパフォーマンスを落としてしまうのは皮肉な話です。

 

 

 

 

 

タンパク質の摂取量を増加させる

 

減量で運動パフォーマンスを損なわないために、特に意識が必要なのが「タンパク質の摂取量を増やす」ことです。減量中で摂取カロリーを減らしているのに、タンパク質の摂取は府あやす必要があるのです。なぜ、このようなことが必要なのでしょうか?

 

 

それは、タンパク質の摂取を増やすことが「筋肉量の維持につながる」からです。

 

 

Longlandほか(2016)の研究では、筋力トレーニングやインターバルトレーニングを行いながら、摂取カロリーを普段の40%制限し、かつタンパク質摂取量を1日体重1㎏あたり1.2gから2.4gに増やすことで、体脂肪がより減少したのに加えて、除脂肪体重の増加がみられています。

 

 

人間には、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)を食べるだけでカロリーを消費する機能が付いています。これを食事誘発性熱生産(Thermic Effect of Food:TEF)と言います。

 

 

この食事誘発性熱生産ですが、炭水化物や脂質は約10%です。100kcal分食べても10kcal分は食事誘発性熱生産として、勝手に消費されてしまうのです。

 

 

そして、なんとタンパク質は、食事誘発性熱生産が30%程度あるのです。これは、100kcal分食べても30kcal分は消費されてしまうことを意味しています。つまり、三大栄養素の中でタンパク質はもっとも太りにくい栄養素であることが分かります。Longlandほか(2016)の研究で体脂肪量がより減少したのには、これが強く影響しています。

 

 

加えてタンパク質は他の栄養素よりも腹持ちがとてもよく、減量中の空腹感を小さくしてくれます。

 

 

このように、減量中はタンパク質の摂取を増やすことが、筋肉量の維持、そして脂肪の減少を加速させる効果を持つのです。減量中は1日体重1㎏あたり、2.0g以上のタンパク質は確保するようにしましょう。

 

 

 

 

良質な脂質(オメガ3)を摂取する

 

食事である程度の脂肪を摂っておくことはテストステロンなどの筋量を維持向上させたり、空腹感にかかわるホルモンを維持するのに重要です。

 

 

減量中の脂肪の摂取は控えるべきことと捉えられてしまいがちですが、完全にカットしてしまうのは良くありません。減量中であっても1日体重1㎏あたり1.0gは摂取するようにすることが望ましいでしょう。

 

 

加えて、脂肪は種類があり、特に不足しやすい「オメガ3」という脂肪を摂取するのが重要です。このオメガ3はゴマや青魚、クルミなどに豊富に含まれています。

 

 

 

 

 

逆に過多になりやすい脂肪(飽和脂肪酸、オメガ6)はできるだけ控えるようにしましょう。これは乳脂肪、牛脂、サラダ油などに多く含まれるものです。スナック菓子やスイーツには要注意です。

 

 

 

 

ビタミン・ミネラルの確保

 

減量中は摂取カロリーが減り、栄養不足になりやすくなっています。したがって、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素は高確率で不足してしまいます。少ない摂取カロリーながらも、多くのビタミン・ミネラルを確保できるよう、「高栄養素・多栄養/摂取カロリー」の食事を保つことが必要です。

 

そのためのコツに、「マゴニワヤサシイ」という言葉が便利です。

 

 

 

 

加工食品、特にスナック菓子やスイーツは高カロリーであるのに、これらの微量栄養素が圧倒的に不足します。

 

果物や野菜、魚、肉、卵など、できる限り素材を丸ごと摂取できるような食事スタイルを作るようにしてみましょう。また、このような食事を意識していると、必然的に食物繊維の摂取が増えます。食物繊維は栄養素の吸収を穏やかにし、減量中の空腹感の低減、便秘の解消につながります。

 

 

 

 

優先順位を考えよう

 

筋肉量を維持しながら、できる限り健康的に減量を行うためには、以下の優先順位に基づいて、行動を変えていく必要があります。

 

 

 

 

 

ピラミッドの一番下、すなわち土台になるのが「カロリー収支をマイナスにする」です。これができなければそもそもの減量を行うことが困難になります。

 

その次にタンパク質の摂取量を十分に確保すること、その次に脂質、ミネラル・ビタミン…と考えていくと、まず自分の食生活の何を見直さなければならないのかが見えてくることでしょう。

 

これらを基に、継続しやすく、スポーツのパフォーマンスを損なわないための理想的な減量方法を探っていってみてください。

 

 

 

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味良し、コスパ良しのプロテインです。日本のドラッグストア、スポーツ店に売られているものはかなり値が張る上に、1kgあたりのタンパク質量が非常に少ないものも多いので、注意しましょう。

 

 

  

 

 

 

参考文献

・Longland, T. M., Oikawa, S. Y., Mitchell, C. J., Devries, M. C., & Phillips, S. M. (2016). Higher compared with lower dietary protein during an energy deficit combined with intense exercise promotes greater lean mass gain and fat mass loss: a randomized trial. The American journal of clinical nutrition, 103(3), 738-746.

 

 


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