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持久系のアスリートにとって、余分な脂肪を減らして持久力を改善させることは重要な課題の一つだと言えます。
ここでは、それを達成するための食事、トレーニング方法に関する文献を紹介します。
持久力を高める食事・トレーニング方法
Marquetほか(2016)の研究では、夜の炭水化物を制限してトレーニングを3週間実施した群(sleep low)と、1日満遍なく炭水化物を摂取しトレーニングをした群(control)で10kmランニングパフォーマンスの向上率を比較しています。
その結果、sleep low群で有意にパフォーマンスが改善するとともに、体脂肪率の低下が見られました。
このように、全体の炭水化物の摂取は同様でも、その配分を変えるだけで持久パフォーマンスを改善させる可能性があるのです。
高強度のトレーニング後に炭水化物を制限すると、持久力が上がりやすくなる仕組み
なぜ、上の研究のような結果が得られたのでしょうか?その理由は2つほど考えられます。
一つは筋肉のミトコンドリアや、グリコーゲン貯蔵量の増加です。
ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを生み出すための器官であり、これが多いほど、多くのエネルギーを長時間にわたって供給することができます。
また、筋グリコーゲンは筋肉に蓄えられた糖質のことで、強度の高い運動、持久的な運動において必須のエネルギー源です。したがって、筋グリコーゲンが多いほどエネルギー生産は長続きします。
強度の高いトレーニングを行うと、この筋グリコーゲンが消費されます。そしてこの筋グリコーゲンが減った状態は、筋のミトコンドリアを増やしたり、グリコーゲンをより多く蓄えようとするスイッチを入れることが分かっています。
持久トレーニング後の炭水化物の摂取を抑えることで、筋グリコーゲンの回復をあえて妨げ、このスイッチが入った状態をキープすることができる。その次の日の朝は低強度のトレーニングを長時間続けてさらに適応を促す。
その後は次の高強度トレーニングに向けて炭水化物を摂取し、筋グリコーゲンを回復させる。
すなわち、このような食事戦略が、持久パフォーマンス改善に有効だと言えるわけです。
そして、このような食事方法は、摂取した炭水化物を効率よく高強度のトレーニングで利用できるようになるため、体脂肪率も減りやすくなると考えられます。これがこの食事方法のもう一つの利点です。
まとめ
持久パフォーマンスを改善させるために、高強度のトレーニング後の炭水化物摂取を抑えることは有効だと考えられます。
そのメカニズムとして、筋グリコーゲンが減った状態が、ミトコンドリアや筋グリコーゲンの増加を促すスイッチを入れることが挙げられます。
しかし、筋グリコーゲンが減った状態だと、強度の高いトレーニングは実施が難しくなるので、次の日の朝に高強度のトレーニングを設定することはやめたほうがいいかもしれません。
選手のトレーニング計画全体を考えた上で実践してみて下さい。
参考文献
・Marquet, L. A., Brisswalter, J., Louis, J., Tiollier, E., Burke, L., Hawley, J., & Hausswirth, C. (2016). Enhanced Endurance Performance by Periodization of CHO Intake:" sleep low" strategy. Medicine and science in sports and exercise, 48(4), 663-672.