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トレーニング後2時間経ってからの糖質摂取では、遅い!


大きな筋力やパワーを出したり、それを持続させたりする能力は、アスリートが高いパフォーマンスを発揮するために重要なことです。

 

 

これらの能力の良し悪しに関わるエネルギー源の一つに「筋グリコーゲン」というものが挙げられます。

 

 

筋グリコーゲンとは、筋肉の中に貯蔵されている「糖質」のことです。比較的大きなパワーを発揮し続けるためには、この筋グリコーゲンを利用して、エネルギーを生み出していく必要があるのです。

 

 

しかし、筋グリコーゲンの貯蔵量には限界があり、筋グリコーゲンが減ってしまった状態では、筋肉のパフォーマンスは大きく低下してしまうことが分かっています。

 

 

そのため、高いパフォーマンスを発揮するためには、筋グリコーゲンをしっかりと蓄えておかなければなりません。

 

 

ということは、試合やトレーニングなどで筋グリコーゲンを消耗したあとは、次の試合やトレーニングまでに、しっかりと筋グリコーゲンを回復させておく必要があると言えるでしょう。

 

 

 

 

運動後2時間以上経ってからでは遅い?「糖質補給」

 

試合やトレーニングで激しい運動を行った後、次の試合やトレーニングまでの時間が、数時間後、または次の日など比較的短い場合は、速やかに食事を摂って筋グリコーゲンを貯蔵することが大切です。

 

 

筋グリコーゲンは糖質であるため、特に糖質の摂取が必要なのは言うまでもありません。

 

 

しかし、食事をした後すぐに筋グリコーゲンが満タンになるわけではなく、少しずつ時間をかけて貯蔵されていきます。

 

 

そのため、運動後時間が経ってからの糖質補給では、次の運動までに筋グリコーゲンの貯蔵が遅れてしまいます。出来るだけ早く摂取するのが効果的です。

 

 

Ivyほか(1988)の研究では、運動直後に糖質を摂取した群と2時間経った後に摂取した群で、筋グリコーゲンの合成度合いを比較しています。

 

 

その結果、運動直後に糖質を摂取した群では、2時間経って摂取した群と比較してグリコーゲンの合成率が約2倍も高くなっていました。

 

 

 

 

 

 

運動直後は、糖質に対する筋肉の感受性が非常に高くなっているため、ここで糖質を摂取することで、効率よくグリコーゲンの貯蔵を進めることができるのです。

 

 

そのため、次の運動まで数時間しかない、翌日に強度の高いトレーニングや試合が続く場合などは、運動後2時間以内に糖質を摂取することが重要です。運動後30分以内に摂取するのが望ましいとの意見もあります(Kerksickほか,2008)。

 

 

とにかく、数時間後、翌日の次の運動に間に合わせるためには2時間経ってしまってからでは遅すぎます。

 

 

トレーニングや試合の後、速やかに糖質が補給できるように、準備を怠らないようにしておきましょう。

 

 

 

どれくらいの量の糖質が必要?

 

筋グリコーゲンを回復させるためには、当然「糖質」を摂取しなければなりません。この糖質を、運動後にどれくらい摂取するかで、筋グリコーゲンの回復率が異なってきます。

 

 

Jentjens & Jeukendrup(2003)の研究では、糖質の摂取量を1時間当たり、1.0-1.2g/kg程度摂取することが、筋グリコーゲンの回復を最大にすることを報告しています。

 

 

 

※Jentjens & Jeukendrup(2003)より、筆者作成

 

 

 

1時間当たり1.0-1.2g/kgの糖質を摂取するということは、体重60kgの人が毎時間60-72gの糖質(240-288kcal)を摂取するということです。市販のエネルギーゼリーなら、2時間で3本程度の量ですね。

 

 

また、この量を摂取するのが難しい・・・という場合は、タンパク質を同時に摂取する方法が有効であることも示されています。

 

 

Van Loonほか(2000)の研究では、タンパク質を1時間当たり0.4g/kgと、やや少ない糖質(0.8g/kg/時)を同時に摂取することで、糖質を大量(1.2g/kg/時)に摂取したときと同程度、もしくはそれ以上に(Zawadzkiほか,1992)、グリコーゲンの回復が促進したと報告されています。

 

 

このように、筋グリコーゲンを効率良く回復させるには、糖質のみでなく、タンパク質を摂取することが重要と言えます。

 

 

運動によるグリコーゲンの消耗度合いは当然個人差があります。そのため、運動後にとにかく糖質をたくさん摂らなくては・・・という習慣が悪いほうに傾いて、思わぬ体重増加につながらないように注意が必要です。

 

 

 

 

参考文献

・Ivy, J. L., Katz, A. L., Cutler, C. L., Sherman, W. M., & Coyle, E. F. (1988). Muscle glycogen synthesis after exercise: effect of time of carbohydrate ingestion. Journal of Applied Physiology, 64(4), 1480-1485.
・Kerksick, C., Harvey, T., Stout, J., Campbell, B., Wilborn, C., Kreider, R., ... & Ivy, J. L. (2008). International Society of Sports Nutrition position stand: nutrient timing. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 5(1), 17.
・Jentjens, R., & Jeukendrup, A. E. (2003). Determinants of post-exercise glycogen synthesis during short-term recovery. Sports Medicine, 33(2), 117-144.
・Van Loon, L. J., Saris, W. H., Kruijshoop, M., & Wagenmakers, A. J. (2000). Maximizing postexercise muscle glycogen synthesis: carbohydrate supplementation and the application of amino acid or protein hydrolysate mixtures–. The American journal of clinical nutrition, 72(1), 106-111.
・Zawadzki, K. M., Yaspelkis 3rd, B. B., & Ivy, J. L. (1992). Carbohydrate-protein complex increases the rate of muscle glycogen storage after exercise. Journal of Applied Physiology, 72(5), 1854-1859.

 

 

 


 


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