陸上競技の選手が少しでも記録を向上させるために、サプリメントを活用することがあります。
しかし、一概にサプリメントと言っても種類が多過ぎて、一体全体何にどんな効果がどれくらいあるのか分からない場合が多いのではないでしょうか?
ここでは、Peeling et al.(2018)の研究で紹介されている代表的なサプリメントについて、どれがどの種目に効果的なのか、解説していきます。

※Peeling et al.(2018)より作成
カフェイン
カフェインは筋力やパワー系パフォーマンス、持久系パフォーマンスなど、あらゆるスポーツのパフォーマンスを改善することが知られています。
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種目に関わらず、どんなアスリートでも摂取すべきサプリメントと言えるでしょう。
クレアチン
クレアチンリン酸は、筋肉の中に蓄えられている、爆発的なパワー発揮に関わるエネルギー源です。クレアチンサプリメントを摂取することで、この筋肉のクレアチンリン酸の貯蔵量を増やすことができます。
トレーニング効果を高めることにも役立つので、特に爆発的なパワー発揮が求められる短距離、跳躍、混成種目の選手は積極的に摂取すべきサプリメントと言えるでしょう。
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硝酸塩(NO3)
硝酸塩は、大きなパワー発揮、かつ持久性に優れた筋線維(タイプⅡa)の機能を高めたり、筋肉への血流を良くしたり、エネルギー生産コストを少なくする働きがあるサプリメントです。
特に、運動時間が40分未満の持久系パフォーマンスを1-3%ほど改善させるようです。これは陸上競技の種目で言うと800m-10000m走などの中長距離種目にうってつけだと言えるでしょう。
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ベータアラニン
ベータアラニンは、高強度で持久的な運動パフォーマンスを改善させます(30秒―10分間の運動パフォーマンスが0.2-3.0%向上)。
ベータアラニンとは、筋肉の中に存在するカルノシンという物質の前駆体です。カルノシンは運動によって筋肉の中が酸性に傾くのを抑え、これによって大きなパワーの持続時間が少し長くなります。
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重炭酸ナトリウム
重炭酸ナトリウムは、筋肉の緩衝能力(筋肉が酸性に傾くのを抑える)を高め、高強度で持久的な運動パフォーマンスを改善させます。
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特に運動時間が60秒程度の高強度持久的な運動パフォーマンスを2%ほど改善させることが知られており、400m走や400mH走において有効に働き得るサプリメントであると言えます。
まとめ
これらのように、それぞれの競技種目に適したサプリメント、どの種目にも有効なサプリメントがあります。自分の競技種目の特性をよく理解して、摂取すべきサプリメントを吟味するようにしてみましょう。
参考文献
・Peeling et al.(2018)Sports Foods and Dietary Supplements for Optimal Function and Performance Enhancement in Track-and-Field Athletes. International journal of sport nutrition and exercise metabolism. (In Press)
・Maughan, R. J., Burke, L. M., Dvorak, J., Larson-Meyer, D. E., Peeling, P., Phillips, S. M., ... & Meeusen, R. (2018). IOC consensus statement: dietary supplements and the high-performance athlete. International journal of sport nutrition and exercise metabolism, 28(2), 104-125.