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110mハードル走(110mH)の特徴とトレーニングの視点

110mハードル走(110mH)の特徴とトレーニングの視点

110mHとは、直線レーンに置かれた10台のハードルを越えながら、110mを走る競技です。ハードルの高さは一般規格で106.7cm、ハードル間(インターバル)は9.14mです(ジュニア、ユースで異なる)。また、スタートから第1ハードルまで(アプローチ区間)は13.72m、最終ハードルからゴールまで(ランイン)は14.02mとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

一般的にはアプローチ区間は8歩(一流選手では7歩も存在する)、ハードル間を3歩で走るため、スタートからゴールまで、ほとんどの選手の合計歩数が同じになります。このような状況下で、いかにスムーズにハードルを越え、インターバルを素早く3歩で刻んでいけるかが勝負のカギとなります。

 

 

参考動画(110mH日本新記録)

 

 

 

110mHのレースパターンを知ろう

 

ハードル種目である110mHは、ハードルクリア後の着地瞬間を基にした「タッチダウンタイム」を用いることで、簡単にレース中の速度推移を知ることができます。このレース中の速度推移は「レースパターン」と呼ばれ、選手のトレーニングの指標として、広く用いられています。

 

 

 

 

 

図は、各レベルの選手のレースパターンを示したものです。100m走では、スタートから約50m付近でトップスピードに達します。しかし、110mHでは、トップ選手であっても30mくらいのところでトップスピードを迎えます。これは、ハードルにしておおよそ3台目に当たる位置です。

 

 

また、15秒台―16秒台の選手はスタートから1台目を越えたあたりでトップスピードに達します。

 

 

このように、高いレベルを目指すためには、より高いトップスピードを引き出し、それを中盤まで維持できるような能力が重要だということが分かります。

 

 

初心者ではまず、1台目―3台目を安定して走れるように技術を高めることに専念しましょう。それができてきたら、その動きをできるだけ長く維持できるようにトレーニングを積んでいく必要が出てきます。

 

 

加えて、110mHでは他の種目と異なり、最終ハードルを越えると速度が上がります。これは、ハードルに足を合わせたり、ハードルを跳んだりする必要がなくなるからです。この最終ハードルを越えてから順位が逆転する場合も多くみられるので、最後まで気を抜かずにゴールまで走り切る必要があります。

 

 

参考に、各レベルの目標となるタッチダウンタイムを紹介しておきます。これを目標値にして、自身の感覚とすり合わせながらトレーニングを積んでみましょう。

 

 

 

 

 

 

減速の少ないハードリング

 

110mHはハードル種目である以上、より減速の少ないハードリングを行う必要があります。より減速の少ないハードリングをするためには、どのようなポイントが必要なのでしょうか?

 

 

踏切動作

ハードリングにおいて最も重要なのが踏切です。より効率的な踏切動作を行うためには、その準備動作にあたる、踏切一歩前の動作も重要です。

 

 

踏切一歩前の歩幅が大きくなってしまうと、踏切で減速しやすくなってしまいます。したがって、踏切一歩前と踏切のリズムが素早く刻めるように意識をするようにしましょう。

 

 

イメージとしては、足音が「タンッターン!」とならないように。高いスピードを維持しつつ、短く刻んで「タタンッ!」を踏み切れるように練習してみましょう。

 

 

 

 

また、図のように、この踏切時におけるリード足の膝を引き出すタイミングもポイントです。身体の真下に近いところで踏み切り、踏切足が地面に着いた瞬間に、勢いよくリード足の膝を前に引き出すようにしましょう。そうすることで、より自分の体重を前方に運ぶことが可能になります。

 

 

「踏切のタタンッ!のリズム」「リード足を早期に引き出すこと」

 

 

この2つをイメージしながらトレーニングに励みましょう。

 

 

 

 

空中のバランス

ハードリングで空中に浮いている場面では、空中動作を上手く使って、減速の少ない着地動作に備える必要があります。

 

 

下半身の動きと上半身の動きをコントロールしながら、着地で体がブレないようにしていきましょう。

 

 

リード脚が右足の選手では、踏切直後、リード足の振り上げや踏み切り足の動作によって、下半身は反時計回りに回転します。この時、上半身は反対側の回転力を生み出さないと、体全体が安定しなくなってしまいます。逆に、着地に向かう場面では、それぞれ反対方向の動作が必要です。

 

 

 

さらに動作を横から見ると、踏切ではリード足の振り上げによって生じる回転力を上半身の前傾によって抑えているのが分かります。着地では、リード足の振り下ろしと上半身を起こす動作が連動しています。このときは、上半身を起こすことを意識するよりも、腰を中心に身体を着地足に乗り込ませ、頭の位置が変わらないような動作を意識してみましょう。

 

 

 

 

 

着地動作

着地も踏切と同様に、着地と次の一歩の接地音が「タンッターンッ!」ではなく、「タタンッ!」と刻めるように意識しましょう。

 

 

高い腰の位置を保ったまま、リード足を体の真下に近いところで接地し、早期に抜き足を前へ送り出します。着地足が地面から離れる瞬間には、抜き足の腿ができるだけ下を向いている形が理想です。この動きができるようになると、着地と次の一歩の接地音が刻みやすくなります。

 

 

 

 

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スムーズなインターバルラン

 

スムーズにハードリングが行えても、インターバルを高いスピードで走ることができなければ記録向上にはつながりません。インターバルは3歩(着地含めると4歩)と一定の歩数で走るため、いかに素早いリズムでインターバルを刻んでいけるかが勝負を分けます。

 

 

インターバルを刻むには、ここまで紹介してきた「踏切・着地」の「タタンッ!」というリズムが重要になります。なぜなら、着地の「タタンッ!」と、踏切の「タタンッ!」を合わせると、インターバルの理想的なリズムにつながる「3歩の走り」が完成するからです。

 

 

まず、初心者のインターバルでは着地と踏切を合わせて、「タタンッタターンッ!」と前へ前へリズムよく跳んでいくような動きを身に付けます。

 

 

リズムが安定してきたら「タタンッ!タタンッ!」とインターバルを刻む着地と踏切のリズムを短くしていけるようにトレーニングを積みましょう。

 

 

このように、ハードリングの踏切や着地動作とインターバルの走りは、切り離して考えるのではなく、一体を成す動作、1つの流れとして捉えるべきでしょう。ハードリングとインターバルランが自然な流れで行えるように、日々意識をしてトレーニングに励みましょう。

 

 

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