クルージング走法とは?
400m走では、スタートから最初のコーナー出口付近でトップスピードに達し、その後はゴールまで徐々にスピードが低下していきます。なので、400m走では高めたスピードを、バックストレートでいかに楽に維持できるかが重要になります。なぜなら、400m走の前半で力を使い過ぎると、後半大きく失速してしまうからです。
この高めたスピードを楽に維持するために、全身が力んだ、力任せの走り方では非常に効率が悪くなってしまいます。すなわち、同じスピードでも、リラックスしながら無駄なエネルギーの消費を抑えた走り方が必要です。この走り方を「クルージング走法」と言われています(土江,2011)。
クルージング走法のイメージ
クルージング走法の目的は、高めたスピードをとにかく楽に維持できることです。無理にスピードを上げたり、全身が力んだ走りになってはいけません。腕振りは肩を少し下げ、タイミング、リズムを取るだけにし、強引に振らないように意識をしましょう。
また、足の接地は身体の真下に近いところに自然と下ろし、そこに腰を乗せていくようなイメージをしてみましょう。激しく地面を叩いたり、押し切ってしまうようなキックにならないよう注意が必要です。
一方、400m走で速度が低下するのは必然的なことなので、ここで本当にスピードが低下しないようにしてしまうと、逆に力みに繋がったり、大きくエネルギーを消費してしまう…という考え方もあります。
したがって、バックストレートで減速していくことは大前提で、リズムを取って無理なく減速していくようなイメージを持つのもアリかもしれません。

クルージング走法の練習方法
クルージング走法の練習として、まず実際の400m走のレースを意識した200m走が挙げられます。200m走のベストタイム+1〜2秒を目安にペースをコントロールしてみましょう。
また、200+200を30〜60秒程度の休息を挟んで、実際の400m走を想定して走る練習方法もあります。この場合も、前半の200mでエネルギーを使い過ぎないような意識が必要です。
他にも次のような練習が考えられます。参考にしてみて下さい。
・200m×6 R:200m walk
200mのベスト+2秒を目安にイーブンペースで走りきる。最初の1〜3本目など、余裕があるうちに力を使い過ぎてしまうと、その後タイムを大きく落としてしまうので、楽に速くを意識して走り続ける。
・緩い下り坂スプリント
地面に足を置いて、そこに身体、腰を乗せていくようにスプリントを行います。下り坂では無理に地面を蹴ろうとすると上手く走れません。そのため、下り坂はクルージング走法を身に付けるために有効な環境になると考えられます。
参考文献
・土江寬裕. (2011). 短距離・リレー. ベースボール・マガジン社.