ベクトルの合成とは逆に、ベクトルをそれぞれの方向に分解することも可能です。走っているヒトの地面反力を例にしてみましょう。
ヒトは走っている時、地面を押し、その反作用で身体を前に進めています。
スタートダッシュの局面で、地面反力は斜め前の方向に向きますが、身体を前に進めるために使われる力は、横方向、つまり水平方向への力です。
また、ヒトには体重があり、重力が働くことから、その重力に対抗する力も発揮している必要があります。重力は下方向(鉛直方向)にかかるので、それとは逆方向にも地面反力を得なければなりません。
すなわち、ヒトが走っている時に受ける地面反力は、水平成分と鉛直成分に分解できるわけです。
スタートダッシュ時の図の局面で受ける地面反力が1000N(ニュートン)で、地面となす角度が60°の時、地面反力の水平成分、鉛直成分をそれぞれ求めると以下のようになります。

このように、ある平面上(2次元)のベクトルは任意の2つの方向に分解することができるわけです。