
ハンマー投げで手を離すべき瞬間というのは、よく勘違いがされるものです。
よくある勘違いが、「ハンマーを回転させると遠心力が働くから、飛ばしたい方向にハンマーが来た時に手を離せばいい!」というものですが、これは間違いです。
回転するハンマーが運動しようとしている方向は、常に円の接線方向です。接線というのは、円に接する直線のことを指します(下図参照)。

ハンマーは円の接線方向に、並進運動をしているわけですから、上の図のタイミングで手を離さないと真っ直ぐには飛んでいかないのです。
「え?じゃあ遠心力はどこに行ったの?」
という声がもしかすると聞こえてきそうですが、遠心力というのは、ハンマーから手を離した瞬間消えて無くなります。
そもそも、接線方向に行きたい(並進運動したい)ハンマーを円の中心方向に引っ張ることで、ハンマーを回転させることができています(下図参照)。

この時の中心方向への引っ張りを、求心力(向心力)といい、これは遠心力と逆向きに働く力です。
手を離した瞬間、ハンマーを円の中心方向に引っ張る求心力はなくなり、遠心力もその瞬間になくなるので、ハンマーは並進運動のみ、つまり接線方向に飛んでいくというわけです。